”バイデン大統領”が誕生した時のマーケットの反応は?
2020年7月17日 16:42
●ウォール街による大統領選の見方
米国の大統領選挙まで残り4カ月を切っている。伝統的に共和党支持だったウォール街にとって、バイデン氏が大統領になることも織り込み済みなのだろうか?
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トランプ政権で実施した法人税21%への大幅減税をやめて28%にすることや、年収40万ドル以上の所得者を対象とした富裕税などの方針は、ウォール街に評判が良くなく、トランプ氏再選を望む声が大きかった。
最近のトランプ氏の支持率低下とバイデン氏リードのニュースが伝えられると、「ウォール街のCEOたちがバイデン大統領誕生を見込んだ準備にかかっている」という報道もあった。
●大統領選の途中経過
2020年11月3日に米国大統領選挙が行われる。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、現時点での世論調査では、民主党の候補に内定しているバイデン氏に投票すると答えた人は有権者の51%で、現職のトランプ氏支持の40%に11ポイント差をつけている。
新型コロナウィルスへの対策や、白人警官が黒人男性を死亡させた事件をきっかけに全米に広がった人種差別反対運動への対応によって、トランプ氏の支持率を大幅に低下させた。
●バイデン氏が勝つと株価暴落?
トランプ氏は支持率が低下する一方で、有権者の過半数はトランプ氏の経済対策を評価し、同じくウォール・ストリート・ジャーナルでは、54%の支持がある。
11月にバイデン氏が勝利するとマーケットは悲観的な反応を示すというコンセンサスがあるが、過去の民主党の傾向から、中道に落ち着くのではという期待感もある。
バイデン氏の公約の柱は大きな政府と増税で、法人税増税や富裕税に加え、インフラ投資や環境規制強化、学生ローンの債務免除やオバマケアの継続・拡充など、自身が副大統領を務めたオバマ政権の巻き戻しや左派層に配慮した政策が並ぶ。
マーケットにはネガティブにとらえられがちだが、インフラ投資によって建設関係の企業は恩恵を受け、環境規制強化はエネルギー企業や資源関連企業にとっては逆風だが、米国では中東原油の重要性が高まり、原油価格の上昇につながることも予想される。
オバマケアの継続・拡充は医療保険業界やヘルスケア業界にとって追い風になることも予想される。
トランプ政権誕生の時もだったが、蓋を開けて見なければわからない部分は多いが、悲観的なことばかりではなさそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)