KDDI、通期は期初予想を上回り増収増益 ライフデザイン領域とビジネスセグメントが大きく寄与
2020年7月16日 18:25
新型コロナウイルス感染症対応 基本方針
髙橋誠氏:本日はお忙しい中、KDDIの決算説明会をご視聴いただきまして誠にありがとうございます。
新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、罹患された方、不安で辛い日々を過ごされているみなさま、すべてのみなさまに心からお見舞い申し上げます。また、感染拡大防止にご尽力されているみなさまには深く感謝申し上げます。当社は通信事業者としての責務を果たすとともに、新型コロナウイルス感染症拡大防止に努めてまいります。
それでは、2020年3月期決算についてご説明します。まず最初に、新型コロナウイルス感染症対応の基本方針についてご説明します。当社は会社の目指す姿として、社会の持続的成長に貢献することを掲げ、2030年へ向けた目標「KDDI Sustainable Action」を策定しました。この目標にもとづき、ライフデザイン、ライフラインを支える企業として重点的に取り組む5つの方針を定めています。
まず1点目は、お客さまおよび従業員の安全です。2点目が通信サービスの維持、3点目が政府、自治体への協力などです。4点目がDX推進によるレジリエントな社会基盤の構築、そして5点目が生活の不安低減としています。
新型コロナウイルス感染症対応
今お伝えした基本方針にもとづき、スライドに記載している内容について実施してきました。これらにとどまらず、引き続き事業を通じて社会と生活の安定に貢献していきます。
20.3期 連結業績ハイライト
2020年3月期業績ハイライトについてご説明します。2020年3月期の連結売上高は5兆2,372億円、前期比でプラス3.1パーセントとなりました。営業利益については1兆252億円、前期比でプラス1.1パーセントとなっています。売上高、営業利益ともに期初予想を上回り、増収増益を達成しています。
20.3期 連結営業利益 増減要因
次に営業利益ですが、115億円の増益でした。スライド左側の成長領域であるライフデザイン領域で330億円の増加、そしてビジネスセグメントで254億円の増加となったことが要因で、引き続き業績を牽引しています。
一方、ミャンマーの決算期変更や3Gの加速償却などの一時的な原因と要因で168億円の減少に加え、その他として「au PAY」キャンペーン関連費や、新型コロナウイルス感染症の影響を見据えた減損を計上しています。持続的成長に向けて着実に推進していきます。
お客さま本位の価値提案へ
次は事業戦略についてご説明します。「グループID×エンゲージメント×総合ARPU」の最大化を目指すにあたり、今期はあらためてエンゲージメントを中心に据えた戦略を推進しています。
このエンゲージメントとはお客さまとの信頼関係のことです。エンゲージメントが向上すれば当社のサービスの利用頻度が上昇し、長くご利用いただけて、結果として解約率が改善します。さらに、「グループID」「総合ARPU」も上昇していきます。お客さまとの信頼関係を第一に事業を展開していきます。
エンゲージメントの向上
エンゲージメントが向上する仕組みについて詳しくご説明します。お客さま推奨度をあらわすネットプロモータースコア、略してNPSを高める取り組みを行なってきました。ここ数年の分析の結果、お客さまとの接点が増加するとNPSが向上する相関がはっきりとわかってきました。
そこでお客さまとの接点としては、まずauショップからはじまり、日常生活の入口として「au PAY」を使用していただきます。そしてクレジットカードやeコマース、「au PAYマーケット」、「au でんき」、金融サービスを組み合わせることによって、生活に欠かせない存在となることを目指しています。このように、お客さま接点の拡大に取り組んでいきます。
au PAY
お客さま接点拡大の中心に据えている「au PAY」についてご説明します。今年の2月から3月にかけてキャンペーンを実施した結果、au以外のお客さまにも多くご利用いただき、「au PAY」の認知度が大きく上昇しました。決済件数も2倍超となっています。
キャンペーン終了後もお客さまのご利用を定着させる取り組みを実施しており、足元では引き続き決済件数が伸びています。
また、いよいよ今月末より「au ウォレットポイント」と「Pontaポイント」を統合した国内最大級の1億超となる会員基盤が誕生します。今後も多くのお客さまにご利用いただけるような環境作りを推進していきます。
グループ全体でのID基盤強化
グループ全体でのID基盤強化です。強固なID基盤構築のために3段階でのモメンタム強化を考えています。第1段階として、グループのブランドを活用してお客さまの流出を抑止していきます。第2段階としては、流動性の高いMVNO市場からグループ会社への新規獲得を強化します。そして第3段階として、5Gの高品質な通信、あるいは体験価値等を訴求してauへのアップセルによるグループ内循環構造を確立し、モメンタムの強化を目指していきます。
au UQ mobile
このグループ戦略を加速するため、UQ mobile事業を当社に統合します。UQ mobileは低価格で高品質なサービスにより200万人の契約者を有しています。統合によるシナジーとしては3点あります。
スライドの左側から、auとUQ mobileの全国営業体制、両ブランドの特色を生かしてお客さまのニーズに合ったわかりやすい料金プランの提供、重複業務や運営の効率化を推進し、グループ経営資源の集約による競争力の強化を目指していきます。
UNLIMITED WORLD au 5G①
次は、3月から開始した「au 5G」です。5Gへの移行を促進するために、端末や料金、サービスのそれぞれの面で取り組みを行なっています。まずは端末ですが、「Galaxy」あるいは「Xperia」などメジャーなフラッグシップモデルに加え、「ZTE」や「Xiaomi」などのミドルレンジモデルまで、業界最多の7機種のラインナップになります。さらに一部端末ではau Online Shopでの最大22,000円の割引、あるいは「かえトクプログラム」を用意し、お求めやすい価格で提供していきます。
UNLIMITED WORLD au 5G②
次に、5Gの料金とサービスになります。5Gでも4Gのデータ無制限と同じ料金水準で提供し、さらに付加価値サービスを組み込んだ独自のプランにより移行を促進していきます。また、「Netflix」に加えて「YouTube」「YouTube Premium」「Apple Music」「TELASA」の映像音楽コンテンツを組み込んだ「ALLSTAR」プラン、これらを本年6月以降に提供を開始します。
さらに、「au スマートパスプレミアム」には、5GならではのAUGMENT体験を用意し、新たな料金と体験価値の提供によってアップセルを目指していきます。
成長領域のさらなる拡大へ
ここまでご説明した内容を踏まえ、成長領域のさらなる拡大についてご説明します。最初にお客さまとの接点拡大により強固なエンゲージメントを構築するとお伝えしましたが、こちらは中央の青い矢印のような付加価値サービスの利用増加につながります。グループの通信サービスをご利用のお客さまに対して付加価値サービスを拡大することで、通信に加えた付加価値ARPUの成長を目指していきます。
また、5Gへの移行とそれに伴うデータ利用増により、通信ARPUの成長も目指します。さらにオレンジの矢印ですが、Pontaなどのオープン基盤を足がかりに、決済やポイント等を活用して成長領域をさらに拡大していきます。
中期目標に対しての進捗①
パーソナルセグメントの最後に、成長領域における中期目標に対する進捗です。ライフデザイン領域の売上高は1兆2,180億円で進捗率は49パーセントです。決済・金融取扱高は6兆5,370億円で、進捗率は134パーセントとなりました。「じぶん銀行」での決済総額の増加や「au PAY」決済などの好進捗により、中期目標の6兆円を前倒しで達成しています。
ビジネスセグメント
次はビジネスセグメントになります。売上高は中期目標の1兆円に向けて順調に進捗しています。当社はお客さまのDXを推進しているため、既存の通信事業からなる基盤事業や、IoT/5G事業、国内外のグループ会社からなる新規領域がともに成長しています。このように、基盤事業と新規事業がともに成長している中において、今後も引き続きお客さまDXの推進によって両領域の成長を目指していきます。
お客さまと共にDXで新たな価値を創る
当社はDXを通じて、お客さまとともに新たな価値を創っています。具体的にご紹介しますと、日立物流の物流センターを5G化することにより、安全、品質、生産面で生産性の高度化を共同で実現します。また、三愛石油とは通信とAIを活用した業務効率化のために「KDDI ガスプラットフォームサービス」の提供を始め、ガス契約者のCS・CXの最大化に寄与しています。このように、環境変化に強いレジリエントな基盤作りへ貢献していきます。
中期目標に対しての進捗②
ビジネスセグメントの最後は、成長領域における中期目標に対する進捗です。売上高は9,235億円で、進捗率は33パーセントです。IoT累計回線数は1,150万回線で、進捗率は35パーセントになります。2022年3月期末までに1,800万回線を目標としていますが、こちらは前倒しで進捗しており、IoT世界基盤を核としてグローバルベースで事業拡大を目指していきます。
21.3期 連結業績予想
ここからは2021年3月期の連結業績予想になります。現時点で見通せる新型コロナウイルス感染症の影響は織り込んだものの、先行きの情勢を慎重に見極めつつ精査を進めるとともに、基本方針にもとづき、社会、生活の安定に貢献し、業績予想および中期経営計画の達成を目指していきます。
2021年3月期の連結売上高は5兆2,500億円、営業利益は1兆300億円と、売上高、営業利益とも前年度と同水準を見込んでいますが、引き続き持続的成長を目指していきます。
また、新型コロナウイルス感染症の状況によっては変動する可能性がありますが、業績予想の修正の必要が生じた場合には速やかに開示していきます。そして、事業戦略の推進と経営基盤の強化に取り組んでいきたいと思っています。
中期経営計画の振り返り
続いて、中期経営計画の振り返りになります。今年度は前年度と同水準の売上高、営業利益を見込んでいますが、中長期的な成長を目指すことに変更はありません。引き続き、持続的成長と株主還元強化の両立を目指していきます。
KDDI Sustainable Action
次に、「KDDI Sustainable Action」についてです。昨年、中期経営計画において事業戦略、企業活動に連動したKDDIが目指すSDGsを発表しました。今回はさらに長期の2030年を見据え、「KDDI Sustainable Action 〜私たちの『つなぐチカラ』は、未来のためにある。〜」として、事業に根ざした目標を定義しました。社会の持続的な成長に貢献する会社として取り組みを推進していきたいと思います。
外部評価
外部評価についてですが、イノベーション、サステナビリティともに賞をいただいています。スライド左側の、ILS実行委員会が経済産業省と共同で実施したアンケート調査による「イノベーティブ大企業ランキング」では、2年連続1位を獲得しました。
スライド右側のサステナビリティでは、世界の代表的な社会責任投資の指標であるFTSEとMSCIの構成銘柄に、2017年以降毎年選定されています。引き続き、社会の期待に応えられる企業を目指していきます。
安心な国民生活と経済回復に向けて
安全な国民生活と経済回復に向けて、新型コロナウイルス感染症対策とその先を見据え、当社は国内通信事業者の使命として大きく分けてこちらの2点を実行したいと考えています。
1点目は、テレワークやオンライン教育、遠隔医療などを支えるネットワークを増強することです。加えて、強靭な5Gネットワークの構築に向けて、グローバル水準の最先端技術を導入するとともに、他社とのインフラシェアリングや電力系通信会社との基地局回線利用によって、国内に二軸のダイバーシティネットワークを確立していきたいと思っています。
2点目、スローダウンした経済活動の回復、さらに持続的成長のためにDXがますます必要と考えられます。グローバルOTTやベンチャー企業とのコラボレーションで新たな技術や発想を取り入れ、各産業界のパートナーとともにDXを推進していきたいと思います。また、日本社会に必要な設備投資を継続し、「Society 5.0」の早期実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。
1株当たり配当金
続いて、1株あたりの配当金についてです。持続的成長を伴うDPS成長を重視しています。2021年3月期の配当金は120円で、19期連続増配を目指したいと考えています。
企業価値最大化に向けて
ここまでお伝えした内容を踏まえ、企業価値の最大化に向けてご説明します。財務においては、中経計画の推進に加え、収益性や効率性等の改善に取り組んでいきます。また、非財務においては、ESGおよびSDGsの取り組みや人財ファースト企業に向けた変革を推進します。財務、非財務の両面において長期かつ安定的にリターンを確保できるよう構造改革に取り組んでいきます。
サマリー
それでは最後に本日のサマリーになります。中期の経営計画については、引き続き持続的成長と株主還元強化の両立を目指していきます。成長領域の拡大と筋肉質経営の両輪で財務項目を強化し、SDGsなど非財務項目の取り組みにより経営基盤を強化していきます。
また、連結業績については、2020年3月期は増収増益を達成し、持続的成長に向け着実に推進しています。2021年3月期は新型コロナウイルス感染症の影響などの環境変化を吸収し、業績は前年度と同水準を予想しています。
事業戦略については、「au PAY」を中心としたお客さま接点を拡大し、エンゲージメントを向上します。また、DX推進を通じた基盤事業・新規領域の成長を推進します。
社会の安定に向けた取り組みと堅実な経営を推進していきます。引き続きがんばってまいりますので、よろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。