NASA、惑星探査での汚染防ぐガイドライン更新 有人探査に向け現実的な方向に
2020年7月15日 19:05
taraiok 曰く、 NASAは月と火星探査に備えて、そうした汚染がどれくらいなら許容できるか、というガイドラインを更新した(NASA、The Verge、ScienceAlert)。 惑星探査では人間などがウイルスなどを持ち込み、その結果、現地惑星に影響が発生しやすくなる。NASAはこれまでも、探査機などを他の星に送り出すときは、どれだけの生物学的汚染が許容可能なのかという惑星保護の概念に従ってきた。惑星保護は50年ほど前に作られた宇宙条約を元にして作られており、かなり厳密な規定がなされている。 しかしNASAは現在、人間を再び深宇宙に送り込むことを重点を置いている。探査機のような機械とは異なり、人間はどれだけ清潔にしても多くのバクテリアを運んでしまうことは避けられない。このためNASAは、惑星保護の概念を現実的に再定義するため7月9日、NID 8715.128[PDF]とNID 8715.129[PDF]という二つの暫定的なガイドラインを提示した。NIDはNASA暫定指令の略だ。 一つ目のNID 8715.128は、NASA関連のミッションで月への陸上生物汚染の制御を目的としたガイドライン。二つ目のNID 8715.129は、火星へロボットミッションに際して、生物学的汚染を防ぐためのガイドラインとなっている。いずれも以前の惑星保護ルールの一部を緩和した内容になっている。 NASAの科学ミッション総局のThomas Zurbuchen氏は、「私たちは、月の持続可能な探査という重要な目標を実現すると同時に、(月面で水が補給可能と想定される)恒久的に陰の出る場所で科学的な探査を保護する」と述べている。また、NASAのJim Bridenstine長官も、このNIDは、火星の環境を可能な限り保護できる検疫システムと廃棄物処理システムの事前調査プロセスとなる。また火星地表において人間が与える影響を監視するための技術を生み出すきっかけになるだろうとしている。