進路指導担当から見た今年の高校3年生の進路マーケット観
2020年7月7日 14:26
■高校3年生の進路希望について
このほど、大阪府と兵庫県の公立高校57校(一部京都府立高校も含む)の進路指導担当教員と話をする機会があり、新型コロナ感染症の影響やその影響による指導方針の変更点などを伺いました。その際、進学希望者数の増減や求人数の増減などのヒアリングを行いました。その結果、大学進学希望者が増加し、就職希望者もやや増加していることがわかりました。
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■7月中に大まかな進路の方向性を決める
例年ならば高校3年生の4月から担任・保護者・生徒による3者面談が始まり、多い学校なら夏休みまでに複数回行われます。この間に進路希望を大学か、専門学校か、就職か、と大まかに決定します。
ところが、今年は6月中旬まで分散登校などが続き、具体的な面談が始まったのは6月中旬から、という高校も少なくありません。
しかし、今後の指導は、夏休みの短縮措置があるか無いかに関わらず、7月から8月中旬にかけてオープンキャンパスや会社見学を済ますように指導する予定の高校が多く、その点は例年とほぼ変わらない方針のようです。従って、生徒や保護者から見ると7月末ころには大まかな進路を決めておく必要があります。
早くから進学や就職の準備ができている家庭以外は、進路指導教員とのコミュニケーションが少ない分、進路選択に迷いが生じることがあるかも知れません。
■大学進学希望者は増加傾向
お目にかかった57校の先生のうち、半数以上にあたる33名の先生が、昨年と比べて進学希望者が増えたと感じると回答しました。これは、進学か就職か迷っていた生徒が、新型コロナ感染症の影響で飲食店や旅行会社、デパートなどが苦境を強いられている姿を見て、就職に不安を感じたり、就職活動が難しくなりそうだと判断したりした結果ではないかと、推測していました。
ただし、先生の回答は正確に前年とデータを比較したわけではなく、インタビューにおいて感覚値をお尋ねした結果ですので、統計的な信頼性は劣りますので、今後の傾向を占うための参考程度にご利用ください。
■就職希望者もやや増加
就職希望者については、増加したと回答した先生と減少したと回答した先生とに分かれました。もともと進学する生徒が多い高校では、進学希望者が増加した分、就職希望者が減少する一方で、もともと就職する生徒が多い高校では、就職率が上昇傾向にある近年の傾向が反映されているように見受けられます。
■求人数は減少傾向
これらの聞き取りを行ったのが6月で、7月の始めに高卒求人が公開される以前の情報でしたので、確定したものではありませんが、高校の指導現場と企業担当者との事前の情報交換により、大手を中心に採用枠を減少するようだとの観測がされています。
■今後の進路指導
就職希望者については、7月の2週目に各校とも求人情報が揃います。その後、具体的に志望先を絞り込んでいくための教員指導が7月いっぱい続きます。これは進学希望者も同様です。具体的な志望先を2つか3つに絞った後、8月前半にかけてオープンキャンパスや会社見学を通して意思決定するプロセスをたどることになります。
とは言え、実際のAO入試や企業の採用選考は10月に入ってからですので、希望を変更することも、もちろん可能です。8月に大学や企業を見学しても、まだどうしても決断できない場合でも、9月いっぱい考える時間は残されています。あまり慌てず、今のうちに優先したい条件を家族で話し合っておくことが肝要だと思われます。