ウィズコロナ、中堅・中小の7割が売上減少を予測も6割がIT化に変化なし

2020年7月7日 08:27

 新型コロナウイルスは社会経済を大きく変える。既に世界では新型コロナの存在を前提とした社会のあり方が問われている。それがWithコロナでありAfterコロナだ。With/Afterコロナ社会では業種構造、流通構造、業態構造、就業構造等が大きく変るであろう。テレワークの急速な普及に見られるように、コロナ対策での情報通信技術の存在は重要だ。With/Afterコロナの中で今後、社会や産業でのIT化・AI化が加速していくことは間違いない。

 IT系市場調査業のノークリサーチが全国の中堅・中小企業(有効回答700社)を対象にWith/Afterコロナ時代の経営課題とIT活用方針に関する調査を6月上旬に実施、これを「2020年版 With/Afterコロナ時代の中堅・中小IT投資動向レポート」としてとりまとめ、6月29日にその一部を公表している。

 レポートによれば中堅・中小企業の6~7割が今後新型コロナの影響により年間売上が減少すると予測している。業種別に見ると、組立製造業で73.3%、次いで運輸業68.6%、加工製造業と卸売業が67.8%と続いている。製造業で多くなっているのは世界経済の長期低迷を見込んでいるためではないかと想像される。逆に「減少」を予測している企業が最も少ないのは建設業の47.1%、次いでIT関連サービスの50.0%となっているが、それでも半数近くが「減少」と予測している。

 一方、「増加」と予測している企業が最も多いのは小売業の18.4%で他の業種は1ケタ台だ。日用品関連の売上増が期待されるスーパーなどで「増加」予測が31.6%となっている一方、アパレル関連では「減少」が87.5%と9割近くに達し商品内容により大きなバラツキがみられる。

 新型コロナの影響によるIT支出の動向を見ると4~6割が「変化なし」と回答しておりIT化が十分推し進められているとは言いがたい。年商別に見ると、300~500億円未満の企業ではIT支出「増加」が26.1%であるのに対して、5億円未満では6.9%にとどまっており規模による大きな格差がみられる。テレワーク、在宅勤務は半数が「一時対応」と回答しており継続的なものとはなっていないようだ。

 レポートでは「RPAとペーパレス化によって、在宅勤務と働き方改革への対応を同時に進めることが有効」と指摘しているが、中小企業のWith/Afterコロナ時代にむけたIT化は未だ十分には進んでいないようだ。(編集担当:久保田雄城)

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