むき出しになったガス惑星のコア、初めて発見される 英大学の研究
2020年7月6日 12:22
多くの惑星の中心部には液体ないし固体からなる「コア」が存在する。英ウォーリック大学は1日、むき出しになったガス惑星のコアの発見に初めて成功したと発表した。
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地球から約730光年彼方にある惑星「TOI 849b」は、恒星の周りを約18時間で公転する。TOI 849bの表面は約1,800K(約1,500度)と高温だ。TOI 849bは冥王星程の大きさだが、「ネプチュニアン砂漠」と呼ばれる恒星の周りを数日で公転できる領域において、これだけ大きな惑星はほとんど見いだせないという。
TOI 849bは、太陽系外惑星の探索に使用される「トランジット法」によって発見された。恒星の周りを公転する惑星は、地球から観測すると恒星を横切るように見える。この通過による恒星の明るさが一時的に減少するため、明るさの変化を確認することで太陽系外惑星が検出されるという。これまで数千もの太陽系外惑星が発見されている。
TOI 849bは米航空宇宙局(NASA)のトランジット系外惑星探査衛星(TESS)によって発見された。研究グループは、恒星の明るさの0.1%程の変化も検出できる南米チリの次世代トランジットサーベイ(NGTS)を用いて、TOI 849bを精査した。欧州宇宙機関(ESO)の高精度視線速度系外惑星探査装置(HARPS)により、TOI 849bを解析した結果、冥王星の2~3倍以上の質量をもつことが判明。冥王星と同程度の大きさであることから、物質が凝縮された高密度の天体だという。
■むき出しのコアの存在を説明する2つの理論
なぜ惑星のコアだけが存在するかについて、2つの理論が考えられる。木星に似たガス惑星から潮汐破壊等によって外層のガスが失われたというのが、最初の理論だ。惑星が恒星に近いことや、別の惑星が衝突したことで、ガスが剥がされたのだとこの理論は説明する。だがこの理論では、すべてのガスが失われたことは説明できないという。
巨大ガス惑星になり損ねたというのが、もう1つの理論だ。巨大ガス惑星が形成されたが、何らかの原因で大気が形成されなかったとこの理論は説明する。惑星の素となる塵の円盤にすき間があったり、円盤の物質が尽きてしまったとすれば、この理論が説明する現象は起こりうる。
TOI 849bの化学的組成は不明だが、別の望遠鏡で追跡可能だという。コアから補充されている大気を測定できれば、核自体の組成について明らかになるだろうとしている。
研究の詳細は、英科学誌Natureに1日付で掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る)