公的年金運用、1-3月期は17.7兆円の赤字に 19年度通年で8兆円赤字

2020年7月5日 07:14

 3日、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、2019年第4四半期の運用実績が17.7兆円の損失となったと発表した。損失の大部分が国内株式と外国株式で、外国債券はわずかにプラスだった。

【こちらも】GPIFはコロナショックでどうなる?

 新型コロナウイルス拡大による国内外の株式下落が公的年金の運用にも響いた格好だ。第3四半期までに9.4兆円を稼いでいたが、2019年度通年で8.3兆円の損失となった。

■国内外株式の損失17.6兆円

 GPIFの運用基本ポートフォリオは国内外の株式と債券、および短期資産で構成されている。

 1-3月期に最も大きな損失となったのが外国株式(10.2兆円減)で、国内株式(7.4兆円減)が続いた。国内債券も0.2兆円の損失となり、外国債券は0.1兆円のプラスだった。

 昨年末時点の国内債券の比率は低く、基本ポートフォリオを10%以上下回る24.87%だった。短期資産の比率も通年で最も低くなっており(3.38%)、コロナによる株価下落の影響をより強く受けた可能性がある。

 第4四半期末では国内外の株式比率を5.78%減らし、外国債券比率を4.21%、短期資産比率を2.57%引き上げた。株式下落による影響もあろうが、ややリスク回避的なポートフォリオを選択したようだ。

■組み入れ首位はトヨタ 2位マイクロソフト

 GPIFの国内外株式組み入れ銘柄(2020年3月末時点)

 1位 トヨタ自動車(投資額:1.3兆円)
 2位 マイクロソフト(1.2兆円)
 3位 アップル(1.1兆円)
 4位 アマゾン(0.8兆円)
 5位 ソニー(0.7兆円)

 GPIFは保有全銘柄を公開している。第4四半期末時点で、国内外株式の組み入れの首位はトヨタで、2位には米マイクロソフトが続いた。

 ポートフォリオの構成比としては外国株式の方が大きいものの、市場規模の違いから国内株式は1銘柄あたりの投資比率が高くなっている様子がうかがえる。

 外国株式の組み入れ上位には米ハイテク株が続いている。米NASDAQ総合指数は1万ポイントを超え、史上最高値を更新した。日本株も4月以降上昇している。第4四半期末のポートフォリオから考えれば、2020年度の第1四半期はプラスになっていよう。(記事:ファイナンシャルプランナー・若山卓也・記事一覧を見る

関連記事

最新記事