明るすぎて迷惑なヘッドライト、その原因は?
2020年7月3日 15:19
クルマのヘッドライトは、より明るく安全に夜間走行ができるように進化を重ね、現在は一部の軽トラックにまでLEDヘッドライトが純正採用されている。しかし、夜間走行すると対向車のLEDヘッドライトに目が眩むことがあるが、この眩しいヘッドライトの正体は社外品のLEDヘッドライトであることがほとんどだ。
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かつてはヘッドライトを明るくするには、高効率ハロゲンバルブに交換することが定番であったが、ハロゲンバルブより明るいHIDキットが販売されるようになると、それを取り付ける人が出始める。しかし、HIDキットは、誰でも簡単に取り付けられる代物ではなかったので、それほど普及はしなかった。
そこに新たな光源としてLEDヘッドライトがレクサスLS600hに搭載されると、瞬く間に市場でLEDバルブが販売されるようになった。しかも、HIDキットと異なり、バルブ交換もハロゲンバルブと同じように簡単にできることから、多くのユーザーはアフターパーツのLEDバルブを装着することになる。
しかし、2015年9月1日よりヘッドライトの車検の検査基準が見直され、今までハイビームで測定していたのをロービームで行うようになった。この改正で、社外LEDを取り付けていると、車検に通らないといった事例が多く報告されるようになり、国産メーカーもLEDの開発に力を注ぎ、車検対応となるLEDバルブを販売するようになっている。
車検対応品と呼ばれるアフターパーツを取り付ければ、車検に合格する製品がほとんどだが、LEDバルブの場合は、車検対応品となっていても車検に通らないことがある。これが眩しい原因の1つだ。
車検対応と謳いながら何故、車検に通らない事例が起きるのかというと、それは灯具(ヘッドライトユニット)の違いが大きく関係する。ヘッドライトの明るさは、バルブの明るさと、灯具内のマルチリフレクターの光束による明るさで決まる。
そのため、メーカーが使った灯具と異なる形状の灯具では、車検対応とならないことがある。ユーザーからしてみれば、車検対応品は車検に通ることが当たり前と思うかもしれないが、車検対応品は、車検に絶対通ることを証明していない。
車検に通らないもう1つの理由は、ハロゲンバルブは360度光が発光するが、LEDの場合は、背中合わせに貼り付けたLEDチップが発光するため、光を出す方向が異なることが大きな原因だ。そこで、LEDバルブメーカーは、ハロゲンバルブに近い発光となるよう工夫をしている。
ただ、ハロゲンバルブと発光原理を近くした製品を装着しても、光軸調整をしなければ意味がない。ハロゲンバルブでも交換すれば光軸が狂うことがあるため、LEDバルブに交換した場合、光軸調整をしなければ対向車に迷惑となる。LEDバルブに交換して、自分が明るくなるのは良いが、相手のことも考えて光軸調整を必ず行うことを忘れないようにしてほしい。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)