AppleがWWDC 2020で発表した「iOS 14」「iPadOS 14」「macOS Big Sur」の詳細は

2020年7月2日 12:44

 Appleは例年6月上旬に開催される開発者向けのイベントWWDCを、新型コロナウイルス禍の世界情勢をうけ、2020年はオンラインのみで、6月22日から25日(いずれも現地時間)にかけて開催した。

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 6月22日のキーノート(基調講演)においては、iOS 14をはじめとしてiPadOS、macOS、watchOSというAppleが発売するハードウエア環境を支えるOS群に関して、新しい動向についての発表があった。

 またかねて噂となっていたmacへのApple独自のCPU、Apple Siliconの採用についても、同時に発表されている。こちらはintel x86系のCPUからiPhoneやiPadなどでこなれてきた独自開発CPUへの移行ということで、よりmacとiPhoneやiPadとの関係がシームレスなものとなることも考えられる。

 ここでは、このうちiOSおよびiPadOS、macOSの進化を中心にそれぞれの特徴を見ていきたい。

■iOS 14

 iOS 14では、その外観はかなりの変貌を遂げ、Appの整理方法、よく使うAppへのアクセス性向上などがもたらされている。

●ウィジェット

 とくにエクスペリエンスの面においては、ウィジェットが再設計され、よく使うAppに従って自動的にiOS側で編集整理されたウィジェットを表示することなどが可能となる。

●Appライブラリ

 インストールされた多くのAppを、1画面で見やすく確認することができるAppライブラリが追加。Appはカテゴリごとに自動で整理され、使用頻度の高いAppに関しては1タップで簡単に起動することができるようになる。

●通話、FaceTimeなど

 純正の通話やFaceTime、サードパーティー製の通話Appなどは、これまでのように全画面に表示されることなく、コンパクトな画面表示が可能となる。

●ピクチャーインピクチャー

 様々な動画AppやFaceTime通話などは、中断することなく別Appの画面中に小さく表示し続けることができるようになる。

●Siri

 Siriもこれまでのように全画面を占めることなく、画面中に小さく表示することが可能となる。

 その他、メッセージApp、マップ、翻訳などで大きな変更が加えられており、また生活機能の1つとして車のドアキーのコントロール機能なども追加され、全体的に使い勝手の向上に神経が払われているようだ。なお対応機種はiPhone 6s以降、iPhone SEおよびSE2、iPod Touch第7世代となっている。

■iPadOS 14

 iPadOS 14ではiOSの新機能のほか、手書き機能の充実化、1画面へより多くのAppが表示できるようになるなど、さらにパソコン的な方向への接近が見られる。

●Appデザイン

 サイドバーやプルダウンメニューなどの新しい操作機能を加え、1つの画面上で別のAppや別の機能へのアクセスが容易にできるようになる。

●Scribble

 ApplePencilを使い、画面上の任意のフィールドに手書きで絵や文字などを書き込むことができる機能が追加された。任意のフィールドへ描き込んだ文字は自動的にテキストに変換されるため、フィールドへの入力がより容易になる。

 対応機種はiPad mini 4以降、iPad Air 2以降、iPad第5世代以降、iPad Pro各種となっている。

■macOS Big Sur

 macOSは久しぶりのメジャーバージョンアップで、これまでのOS XからmacOS 11となる。Big Surと名付けられた新バージョンでは、ルックアンドフィールはアイコンなども含めiPadOS的になっている。Apple Siliconの採用(当面はintelベースもサポートされるが)も相まって、この面でもiPad系列とmacを近づけようとしているように見える。

●デザイン

 アイコンは、角が丸くなった四角形のものが採用され、全体にiPhoneやiPadに近くなった。またウィンドウやプルダウンメニューなどもやや丸みが強くなっている。メニューバーとツールバーは一体化され、ウィンドウ自体がよりシンプルな印象となっている。

●コントロールセンター

 iPhoneやiPadにおけるコントロールセンターと同様の仕組みが、macOSにも新しく追加され、見た目の変更やネットワークのコントロール、音楽再生などへのアクセスが容易になる。

●Safari

 macの標準WebブラウザであるSafariも性能を一新し、スピーディーなアクセスと省エネ性能などが強化されている。

 その他マップやプライバシー機能など様々な部分が強化されつつ、前バージョンとの互換性も維持されているとのこと。徐々にARMベースのApple Siliconへと統一されていくと思われるが、まだまだ寿命を迎えているわけではないintel系mac上でのパフォーマンスについても、しっかりと考慮されているようだ。

 なお、対応する機種はMacBook(2015以降)、MacBook Air(2013以降)、MacBook Pro(2013以降)、Mac mini(2014以降)、iMac(2014以降)、Mac Pro(2013以降)とiMac Proの全機種となっている。

 また、同時にwatchOS 7も発表されており、操作性向上やWatch Faceの追加などがアナウンスされた。watchOS 7の対応デバイスはApple Watchシリーズ3以降となっている。

 WWDCで発表される新OS類については、正式リリースはその年の秋となっており、通例であれば9月に一般向けリリースとなる。いちはやく新機能を試してみたいというユーザー向けには、ベータバージョンがWWDCの基調講演と同時にリリースされているので、これをダウンロードして導入してみるという選択肢もある。

 ただし、ベータバージョンのOS導入にはそれなりの知識が必要であり、また積極的にベータテスターとして開発に参加していくという意識も大切となる。そのあたりをしっかりと踏まえた上で、あくまでも自己責任での導入ということを忘れないようにしたい。(記事:kurishobo・記事一覧を見る

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