トヨタとトクヤマ、副生水素利用した定置式FC発電機の実証実験運転を開始

2020年7月2日 08:23

 株式会社トクヤマとトヨタ自動車は、燃料電池自動車(FCV)「MIRAI」に搭載されている燃料電池システム(FCシステム)を活用した定置式の燃料電池発電機(FC発電機)を山口県周南市のトクヤマ徳山製造所内に設置して、副生水素を利用した実証運転を開始した。実証運転は、2022年3月末までを予定している。

 FC発電機は、MIRAIに搭載されているFCスタック、パワーコントロールユニット(PCU)、2次電池などのFCシステムを活用することにより、高性能で安価な機器の製造を目指して、トヨタとトヨタエナジーソリューションズが共同で開発した。

 今回導入したFC発電機は、2019年9月より、愛知県豊田市のトヨタ本社工場内で実証運転中の定格出力100kWのFC発電機をベースに、定格出力を50kWに変更し、部品レイアウトの見直しなどによって、メンテナンス性の向上などの改良を図ったシステムだ。

 今回の実証運転の最大の特徴は、化学メーカーであるトクヤマが食塩電解法で苛性ソーダを製造する際に副次的に発生する副生水素をFC発電機の燃料として活用する点にある。

 トクヤマは、副生水素を安定供給する役割を担い、FC発電機で発電した電力は、定格出力50kWで徳山製造所内へ供給する。

 トヨタは、水素使用量当たりの発電量などのエネルギー効率、発電出力の安定性、耐久性、メンテナンス性、海風による塩害の影響などの検証・評価を行ない、副生水素の活用による発電性能への影響や外部から水素を購入した場合と比べた燃料代などの経済性を試算する。

 トクヤマは山口県周南市に本拠製造所を運営する「化学を通じて、暮らしに役立つ価値を創造する」を標榜する企業。国内有数の高純度な副生水素供給能力を持つ総合化学メーカーとして、副生水素を活用した地域貢献モデル事業の検討を進めるという。

 トヨタは、FC発電機の普及に向けてFC発電機の出力ラインナップの拡大、エネルギー効率や耐久性向上・コンパクト化・コスト低減等の商品力強化に向けた研究・開発とビジネスモデルの検討を推進する。(編集担当:吉田恒)

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