【どう見るこの相場】「踏んだらしまい」か「逆日歩に買いなし」か!?信用大取組株にはなお高値攻防余地

2020年6月29日 08:18

 この週末から今6月末に掛けて、売り方も買い方も、それぞれの相場格言を強く自問自答することになりそうだ。売り方は「踏んだらしまい」、買い方は「逆日歩に買いなし」である。売り方は、今年3月のコロナ・ショック安時に売り込んだ売り建て玉が、7月には信用期日の一番厳しい4カ月目に入り、相場格言の「踏んだらしまい」は、買い戻したところが天井になることを教えているだけに、ポジションを解消するか粘り切るか迫られるからだ。

 これまでの新型コロナウイルス感染症の状況は、ほぼ売り方が想定したシナリオ通りに推移してきた。経済活動を早期に再開した米国では、カリフォルニア州やフロリダ州で感染者が再拡大して飲食店の営業規制が再強化され、前週末26日のニューヨーク・ダウ工業株30種平均(NYダウ)が、730ドル安と急反落して1カ月ぶりの安値に突っ込んだ。

 国内でも、前日28日の東京都の新規感染者が60人、全国で113人確認され、5月25日の緊急事態宣言解除後では最多となった。都知事選挙の選挙運動中の小池百合子都知事は、「第2波」ではないとコメントしたが、企業内でのクラスター(感染者集団)が発生するなど経済活動再開や県境を超えた移動規制の緩和などの悪影響への懸念を強めている。

 となれば、今年1月以降のパンデミック(世界的な大流行)対応の相次ぐロックダウン(都市封鎖)で経済活動・社会生活が突然ストップして瞬間蒸発した世界需要が、V字回復すると期待し、ショック安した株価もほぼ急落分を埋めるとした買い方のシナリオの見直しを迫られることになる。各種の経済指標の落ち込みや企業業績の大幅減益、経済成長率の下方修正などの実態悪が、7月1日公表の日銀短観などで確認されれば、再び株価抑制材料としてカムバックし、株価急落ストーリが蘇生するとすれば、ここは売り乗せの一手との迷いも生じる。

 一方、買い方も、「逆日歩に買いなし」の相場格言が懸念材料として浮上する。「踏んだらしまい」と同様に、好取組株の逆日歩は相場の最終局面でつくことが多く、経験則では、売り方が逆日歩攻勢に音を上げて白旗を上げ、ポジション解消に動くと株価の天井打ちのシグナルとなるからだ。ここは、売り方の買い戻しに買い建て玉をぶつけて手仕舞うのか、なお買い乗せて売り方を締め上げるのか思案のしどころとなる。

 この好取組株の売り方・買い方攻防の先行きを占うシンボル株として注目されそうなのが、アンリツ<6754>(東1)である。アンリツは、5G(第5世代移動通信システム)関連のキー・ストックの一角を占め、株価は、前週末26日に年初来高値を更新し2001年以来の19年ぶりの高値水準となった。確かに5G関連の計測機器の需要拡大で前3月期業績を2回も上方修正し、今期業績も続伸予想にあるが、市場コンセンサスを下回るとして株価の反応は限定的で、2000円台での200円幅のボックス相場にとどまった。

 もともと同社株は、好材料の感応度が限定的で株価のクセの悪さが敬遠気味であり、今回のコロナ禍で年初来安値1550円に突っ込み、5G投資の本格化も半年程度はズレ込むと観測されれば、底上げ途上で売り方は売りたくなって当然だ。信用取組は、今年3月13日に売り残747万株、買い残580万株と信用倍率0.76倍の売り長となり、直近では売り残408万株、買い残257万株と縮小均衡したものの、その後に高値追いで買い方が利益を確定する一方、売り方はなお高値で粘り逆日歩に追い詰められることになった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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