相次ぐ債券発行予定の発表に見る、債券投資の必要性
2020年6月29日 17:57
オリエントコーポレーションは24日、国内市場において公募形式によるソーシャルボンド(第24回・第25回無担保普通社債)を7月より発行すると発表した。個人投資家、機関投資家いずれも対象とする。
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ソーシャルボンドとは、債券の一種である。債券といえば国債や社債などのイメージが強いが、ソーシャルボンドは、企業や地方公共団体が社会的課題の解決のためのプロジェクト(ソーシャルプロジェクト)の資金調達を目的とし、国際資本市場協会が定めるソーシャルボンド原則に則り、発行する債券のことである。
東京大学は6月、今年夏ごろを目途に、国立大学初となる「大学債」を発行すると発表した。研究費用などに充てる目的で、今後10年で1,000億円の資金調達を目指す。償還には、研究の成果を当てるのではなく、東大全体の寄付金などを利用する。償還期間10年以上の超長期債を検討しているという。
トヨタ自動車では4月に、新型コロナウイルス感染症の長期化の懸念から、最大3,000億円の社債発行枠を登録した。過去の社債登録枠より1,000億円の上乗せとなる。5月には日産自動車も、発行枠5,000億円とする社債を登録。約4年ぶりに社債を発行すると発表した。
このように、債権の発行予定発表は相次いでいるが、債券を発行することは、企業側、投資家側、双方にとってメリットがあると考えられる。企業は、債券を発行することで、長期的な資金調達が可能となる。投資家は、長期的かつ、より安全な資産運用ができる。もちろん、債券を発行した企業や団体に万が一のことがあれば、その債券は価値がなくなってしまうというリスクはある。
新型コロナウイルス感染症の影響により、個人投資家はこれまでの投資先について再検討している側面も見え隠れする。積極的な資産運用というよりも、資産を守る動きに入った投資家も多い。
少しでも安全に資産を増やしたい、と考えるなら、債券投資をポートフォリオに組み込むことをお勧めしたい。より信頼のできる発行元であれば、その企業や団体を応援するという意味で、有意義なお金の遣い方になるのではないだろうか。(記事:大野 翠・記事一覧を見る)