福祉作業所、コロナ禍で工賃激減 オリジナル珈琲クラウドファンディングで再起めざす

2020年6月18日 06:56

 新型コロナウイルス感染症の影響は福祉作業所にも及んでいる。福祉作業所には通常の事業所への雇用を目指す者を対象にした就労移行支援事業、通常の事業所での雇用は困難であるが雇用契約による就労が可能である者を対象とした就労継続支援A型事業所、そして雇用契約に基づく就労が困難である者を対象にした就労継続支援B型事業所がある。厚生労働省の調査によれば2018年度の就労継続支援B型事業所の全国平均工賃は月額1万6118円で時間給にすると僅か214円という状況だ。

 岐阜県岐阜市のウィンキャリアが運営する就労継続支援B型事業所アンドワークスでは工賃向上を目指して珈琲のオリジナルブランド「andcoffee」を立ち上げた。自主生産・自主販売を行い、商品代金の約50パーセントを工賃として事業所利用者に支払っている。

 オリジナルブランド「andcoffee」は、高級品種アラビカ種を100パーセント使用した本格珈琲で、プロの焙煎士の徹底指導により「障がい福祉」という枠にとどまらず手作業で不良豆を取り除き厳選されたアラビカ種100%使用して豆の特徴を最大限引き出す焙煎を行うなど、味や香りの良さを追求した珈琲を生産している。

 商品は、これまで企業のオフィスや地域イベント、ショッピングモール内で販売してきたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの企業がテレワークへとシフト、イベントの中止やモールの休業も相次ぎ、売上は激減するに至っている。このため、事業所の工賃も大幅に引き下げざるを得なくなった。

 この現状を打破するためウィンキャリアはクラウドファンディングに挑戦することにした。クラウドファンディングの内容は、ドリップ珈琲や珈琲豆のセットを毎月定期便で提供するマンスリーサポートだ。コースは1000円から3万円、最高額の3万円は企業向けで、企業のロゴを入れたオリジナルラベルを使用したドリップバッグ珈琲200袋を毎月配送する。

 事業所では「目標は毎月30万円の定期購入の獲得。2020年11月30日まで実施し、障がい者支援に興味がある人、美味しい珈琲が好きな人などに向けて発信を続けてゆく」としている。新型コロナによる需要蒸発の中で福祉事業所も生き残りをかけた様々な努力が試みられているようだ。(編集担当:久保田雄城)

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