ネイティブ並みの外国語発音を習得! 強い動機付けが臨界期の壁を越える

2020年6月16日 07:31

 外国語学習において、12歳を境にネイティブ並みの発音を獲得できる率が顕著に下がるという説は、言語学者の間には一般的に知られている。ネイティブ発音獲得における思春期を臨界期とする説だ。

【こちらも】脳科学が太鼓判!「多読多聴」から始める外国語学習

 しかし、強い動機付けと学習初期におけるインプットの洪水、そして発音に特化した短期集中訓練を行えば、臨界期を過ぎても母語話者並みの発音が獲得できることがわかってきた。

 外国語を学ぶ年齢と外国語の訛りの有無は強い相関関係を持つということは、ほぼ間違いなく、年齢がネイティブ発音習得の成否に強い影響を与えていることは確実である。

 これは、思春期を過ぎて喉頭の位置が低くなることや、脳の一側化(lateralization)、即ち右脳と左脳の機能分化が完結することと深い関わりがあると言う。しかし、脳科学の進歩や言語教育研究者らの実践的努力によって、臨界期の例外を作り出せる可能性が高まっている。

 外国語教育の専門家たちが調査・研究を進める過程で、臨界期を過ぎてからネイティブ並みの外国語の発音を習得した人たちが発見された。1000人に1人という極めて低い確率ではあるが、成人してから外国語を学習しても、ネイティブ並みの発音を習得している人が存在していることが明らかになった。

 成功者たちには大きく分けて2つの共通点が見られた。強い動機付けと、学習初期におけるインプットの洪水である。今回は動機付け獲得について詳しく話を進めたい。

■強い動機付け

 臨界期を過ぎてネイティブ並みの発音を獲得した人に共通して見られたのは、強い動機付けである。仕事で外国語を話す必要がある、外国語を話せるようになると確実に収入がアップするなど、高い必要性と具体的な報酬が最も有効な動機付けである。

 しかし、現実には外国語学習者の多数は「いつか仕事で使うかも」「何か特技を身につけたい」といった理由で勉強を進めている。動機付けとしては、弱いレベルにあり外国語学習を途中で挫折する人が多いのもここに原因があるようだ。

 動機付けは、脳の報酬系が喜ぶものを具体的に約束することが効果的だ。単語を1000個覚えたら2週間旅行して現地の人との会話を楽しむ!2週間の短期留学プログラムに参加する!といった、学習と喜びと進歩が繋がる動機付けならば、毎日の継続学習もがんばれるだろう。

 また、外国語学習を徹底して行うと脳の前帯状皮質、海馬、大脳皮質が発達して、集中力や記憶力が飛躍的に伸びるという事実も有効な動機付けになるであろう。詳細は以下の記事を参考にしてほしい。

【参考】外国語を習得して集中力を高め、AIに負けない最強の脳をつくる!

 外国語教育に携わる専門家や成功した学習者が成功の秘訣として必ずあげるのが、強い動機付けである。動機付けなく外国語を習得するのは困難と言ってもいいくらいである。モチベーションを最大限に高めてくれる自分なりの動機付けを今すぐ設定しよう!

 次回は外国語学習初期のインプットの具体的な方法について詳しく説明したい。(記事:薄井由・記事一覧を見る

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