NYの視点:FOMCは大規模緩和当面維持する方針変わらずか、5月雇用統計の改善も、マイナス金利見通しは後退

2020年6月9日 07:42


*07:42JST NYの視点:FOMCは大規模緩和当面維持する方針変わらずか、5月雇用統計の改善も、マイナス金利見通しは後退
米連邦準備制度理事会(FRB)は明日9日から10日に米連邦準備制度理事会(FRB)を開催する。FRBはこの会合で、異例な大規模緩和を据え置く見通し。5月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想外の増加に転じ過去最大の伸びを記録したほか、失業率も上昇予想に反して低下するポジティブサプライズも、FRBな慎重な方針を1カ月の指標で翻すには十分ではない。

ウイルス危機で4000万人が職を失った。失業率は低下しているものの依然2桁台。パウエルFRB議長が警戒しているウイルス感染の「第2波」のリスクも残るほか、経済活動が再開しても企業の業績が冴えず第2の雇用削減の可能性もある。

ブルーンバーグが実施した調査によると、対象となった市場関係者の回答者のうちほぼ半数は次のFOMCの行動はイールドカーブコントロールだと見ていることがわかった。時期は9月会合で発表される可能性が強いと見ているようだ。また、FRBの政策の意向がより反映し易い短期物で導入する可能性が強いと見ている。

全米経済研究所(NBER)は米国経済が2月に景気後退入りしたと正式に宣言した。2009年から始まった景気拡大は128カ月と、歴史的最長を記録したと声明で指摘。声明ではさらに、パンデミック、公衆衛生がもたらした結果で、今までのリセッションと違うとし、たとえ、今までの縮小に比べて短期に脱したとしても、全米で広範にわたる雇用や生産のかつてない規模の縮小を受けて、判断したと説明した。

第1四半期の国内総生産(GDP)はマイナス5%成長となった。5月の雇用統計を受けて雇用の回復が警戒されていたより速く、V字型回復への期待も強まりつつある。金融機関は景気見通しを引き上げ。平均で第2四半期をマイナス29%(前回マイナス40%)、第3四半期はプラス成長に回復し+12%(前回+5%)へそれぞれ引き上げた。

多くのエコノミストは景気後退が4−6月期には終了すると予想、ゴールドマンサックスのチーフエコノミストのハチアス氏は、戦後最悪のリセッションであると同時に、過去最短で終了すると予想している。ハチアス氏は、リセッションが6カ月以内に終了した例は1800年代半ば以降ないと指摘している。

今後はどの程度速やかにリセッションを脱することができるかどうかが鍵となる。マイナス金利導入予想も後退しドルを支援すると見る。

■市場関係者調査:

●イールドカーブコントロール発表の時期
6月FOMC:7%
7月:14%
9月:64%
11月0%
12月:14%

●対象とする期間
2年物:50%
5年物:36%
10年物:7%
30年物:7%

●成長やインフレのリスク
上方:15%
下方:78%
均衡:7%

●FRBの緊急プログラム
金融市場や経済支援で十分な規模:85%
過剰:15%
不十分:0

●成長見通し
第2四半期:
マイナス29%(前回マイナス40%)
第3四半期
+12%(前回+5%)《CS》

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