理美容業者の倒産、過去最多 休業要請の対象に含まれず、協力金受けられず

2020年6月9日 07:44

 新型コロナウイルス感染症対策の為の休業要請等の法的根拠は新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく。この法に基付けば緊急事態宣言下での要請や指示の権限は知事にある。しかし、実際宣言が発令されたとき小池東京都知事は国の西村担当大臣との調整の結果、理髪店を要請の対象外とした。

 これは理髪店が休業補償としての協力金の給付対象となるための法的根拠を失うと言うことだ。理髪店は従前より困難な経営環境に置かれていたが外出自粛要請が出されている環境で来客数の激減は目に見えており、それが故に大きな争点となったと言えよう。

 19日に帝国データバンクが「理容業」と「美容業」における2009年度~2019年度の倒産(負債1000万円以上の法的整理)について分析したレポートを公表している。レポートによると、2019年度の「理容業」と「美容業」の倒産件数は180件で、前年度比9.1%の増加となっており、2年ぶりに前年度比増加となり過去最多を更新した。

 負債総額は58億6600万円、前年度比34.0%の増加で、負債10億円以上の大規模倒産は発生しなかったものの2年連続して前年度比で増加となっており厳しい経営環境が続いている。負債規模別でみると、「5000万円未満」の倒産が157件で零細店を中心とした小規模倒産が9割を占めている。

 厚生労働省のデータによると全国の理美容所は約37万施設存在し、店舗は過剰な状態で、それ故に競争も激化している上に家賃・人件費等の固定費負担や広告費も加わり収益を圧迫している状況のようだ。

 他業種が休業している中、営業を継続している店舗では感染拡大の防止策を徹底しているものの外出自粛の広がりにより来客数自体や客単価が減少し、さらに来店サイクルの長期化も見込まれ事業の継続自体が困難となり破綻に至る可能性が高まっている。

 総務省の家計調査1-3月期によれば、新型コロナの影響などから理美容における支出金額累計は前年同期から落ち込んでいる。外出自粛を背景に低調な消費が続く中、これまで営業を見合わせていた店舗の閉店や廃業を選択する事業者が零細店を中心に今後増加傾向となることは間違いない。行政による十分な救済措置が必要なのではないか。(編集担当:久保田雄城)

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