本社移転、東京圏一極集中進む 大阪圏は29年連続の転出超過
2020年6月5日 07:52
東京一極集中が止まらない。総務省の住民基本台帳によると2019年1年間の東京都内への転入者数は46万6849人、転出者は38万3867人であるから転入超過は8万2982人となり、前年の転入超過7万9844人と比較すると未だ東京一極集中は加速しているといえる。
東京一極集中は住民人口のみでなく企業の本社においても歯止めがかからない状況だ。こうした状況の中、政府は東京圏から地方への本社移転を推し進めるため15年度に東京23区などから地方への企業移転を後押しする税優遇措置「地方拠点強化税制」を導入し、この制度を19年度末まで2年間延長することを決定しているが未だその成果はほとんど見られない。
2日、帝国データバンクが自社の保有するデータベースを基に19年に都道府県を越えて本社移転を行った企業についての分析レポートを公表している。レポートによれば、19年に本社移転を行った企業は全国で2011社存在し、18年から1社減少し2年連続での減少となっている。10年以降の10年間では過去2番目に低い水準で、また転入企業数が転出企業数を上回る「転入超過」となったのは26府県に上った。
東京都では転入が580社、転出が629社で49社の転出超過となっている。しかし、神奈川県が転入236社、転出188社と48社の転入超過で3年連続の全国1位となっているため、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県の東京圏では転入企業が312社、転出企業は246社で転入超過は66社となり前年と比べ43者の増加となっており、東京圏全体としては9年連続で転入超過となり一極集中は続いている状況だ。東京圏への転入元のトップは大阪府で66社、次いで愛知県が34社だ。
一方、大阪圏へ本社を移転した企業は 126社と3年連続で増加しているものの、転出した企業は161社で転出が転入を上回って転出超過は前年と比べ19社多い35社だ。大阪圏の転出超過はデータのある91年から29年連続である。名古屋圏では移転58社、移転62社で4社の転出超過だ。
政府は、東京一極集中の是正と地方経済活性化を実現するための様々な優遇措置を講じてきたものの、近年のグローバル化の中で、取引先や人材確保、海外や地方への移動など企業活動上の高い利便性から三大都市圏の中でも東京圏1人勝ちの状況が続いているようだ。(編集担当:久保田雄城)