究極のクリーンカーその1 燃料電池車
2020年6月4日 06:31
本当に地球環境に優しい、究極のクリーンカーは「燃料電池車」と「水素エンジン車」しか存在しない。
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●EVに充電する電気の由来は?
昨今、EV(電気自動車)がもてはやされ、わざとらしく「ゼロエミッション」と、オーナメントを後部に取り付けた車も存在する。
東日本大震災以来、原子力発電の電力割合が約3割から数%へと極端に低下している現在は、火力発電が発電割合の約8割となり、発電所で生産される「製品」とも云うべき「電気」を製造(発電)する段階で、既に環境に影響を与えている
従って、「ゼロエミッション」と名乗りたかったら、常時「太陽光」か「風力」で発電した電気以外は「車載蓄電池の充電に使わない」ものでなければならない。つまり「電力会社からの電気を充電に使用しない」EVでない限りは、ゼロエミッションではあり得ない。
●EVは長距離移動や大量輸送には向かない
EVは乗用車でさえ長距離移動に不向きで、都市内の近距離移動に限定されると云っても過言ではない。
5月26日、日本経済新聞にいすゞ自動車が20年代前半にも「EV小型トラック」を実用化すると報じられた。エルフをベースに電動化し、1充電あたりの航続距離は100km以上を目標としている。
この程度では、やはり決まったルートの近距離物流でしか使えない。
勿論、長距離移動に不向きなEVでは、長距離・大量輸送を担う大型トラックの用途には全く適さない。バスにしても、都市内の路線バスならEVの適用も可能だが、観光バスや長距離高速バスになると不適合だ。
●大型トラックも燃料電池車化へ
大型トラックのEVは非現実的だから、4月21日、商用車世界大手のダイムラー(ドイツ)とボルボ(スウェーデン)が折半出資で「燃料電池トラック」を開発・量産する合弁会社設立を発表した。
大型トラックの分野では、この両社は激しく競合する関係にあり、異例なケースと考えられる。その意味からも、「燃料電池車」が将来的な長距離・大量輸送の切り札であると期待されている事が判る。
●「燃料電池車(FCV)」と「水素エンジン車」こそが環境に優しい車だ
「燃料電池車」の場合は、理科の実験でやった「水の電気分解」=(「水:H2O」に差し込んだ電極に「電気」を通すと「水素:H」と「酸素:O2」が発生する)と逆の作用をさせる。
つまり、「水素:H」を「酸素:O2」と結合させて「電気」と「水:H2O」を発生させている。この電気で車載モーターを駆動する「自家発電する電気自動車」で、水だけを排出する。
●国産FCVはトヨタとホンダが生産
国産FCVにはトヨタMIRAI、ホンダCLARITYがある。
トヨタMIRAIは2014年12月15日、ホンダCLARITYは2016年3月10日に発売された。
「日本自動車販売協会(自販連)」の集計資料では、2020年3月時点での累計販売台数はMIRAIが3,497台、CLARITYは661台となっている。
因みに、CLARITYは2018年7月以降、FCVとPHVを合算している。過去実績から推計すればFCVとPHVの比率は1:8で、この数値で修正すれば多分累計台数は250台弱と思われる。
●普及への道程は遠い
FCVはエコカー減税、環境性能割、グリーン化特例、CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)などの対象車で、さらに自治体によっては独自な補助金もある。
しかし、価格はトヨタMIRAIが740万9,600円、ホンダCLARITYが783万6,400円と高価でもあり、補助を受けても普及には未だ程遠いのが現状だ。
●FCVの未来は明るいか
現時点でも650km程度確保されているFCVの1充填航続距離が、水素インフラの整備が進み、充填所が充実すれば、現在のガソリン車やディーゼル車同様、航続距離を気にせずに利用可能となる。
水素は太陽光発電で得た電気で水を電気分解すれば無限に有る。水素社会の未来は明るいといえるのではないだろうか。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)