埼玉県立近代美術館で“写真と映像の物質性”探る展覧会、Nerholなど現代アーティストを紹介

2020年6月2日 08:25

 企画展「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」が、埼玉県立近代美術館にて、2020年6月2日(火)から9月6日(日)まで開催される。なお、当初は2020年4月4日(土)から5月17日(日)までの会期を予定していたが、変更となった。

■写真・映像がもつ“物質性”に着目

 デジタル技術が高度に発達し、社会に浸透した現代。そのなかにあって、写真や映像を表現の媒体に選ぶアーティストは、編集ソフトによる加工や合成、コピーやスキャンニング、そしてインスタレーションといった多彩な手法を駆使することで、その表現を更新し続けている。

 たとえば写真が、確かな手触りをもつ紙に印刷されるように、写真や映像は“物質”としての性質を有している。「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」は、写真や映像という表現媒体が持つ“物質性”に着目し、その可能性の拡張を試みるアーティストを取り上げる展覧会だ。

■4人+1組のアーティストを紹介

 会場では、迫鉄平、滝沢広、牧野貴、横田大輔の4人、そしてアーティストデュオのNerhol(ネルホル)を紹介。Nerholは、人物といったある対象を撮影した数百枚の写真を積み重ね、3次元的に彫り込む手法での制作を続けている。本展では《Portrait of Mr. Yoshida》といった作品を通して、日常生活では看過されてしまう有機物の多層的なあり方を、物質的なかたちで提示する。

 一方、滝沢広は、岩やコンクリートを撮影したプリントを折りたたんでひだを作り、被写体の性質から離れたプリント自体の物質性を露わにしてみせる。また牧野貴は、《Still in Cosmos II》などに見るように、自然現象や風景をフィルムやヴィデオで撮影し、編集段階で重層的な操作を加えることで抽象的な映像を作り出している。

 本展ではこうしたアーティストの作品を通して、視覚表現の媒体が確かに有する物質性、そしてイメージを観るという行為がはらむ「手触り」にも接することができるだろう。

■展覧会概要

 企画展「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」
会期:2020年6月2日(火)~9月6日(日)〈事前予約制〉
※当初の会期2020年4月4日(土)〜5月17日(日)から変更
※公式サイトより要事前予約(予約がない場合、入館の際に「入館者カード」への氏名・連絡先等の記入が必要)
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
TEL:048-824-0111(代表)
休館日:月曜日(8月10日(月)は開館)、6月23日(火)
開館時間:10:00〜17:30(入館は17:00まで)
観覧料:一般 1,100円(880円)、大高生 880円(710円)
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下、障害者手帳等の提示者(付き添い1名を含む)は無料
※併せてMOMASコレクション(1階展示室)も観覧可
※来館に際しての注意事項は、公式サイトを確認のこと

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