【どう見るこの相場】今期予想や配当を未定とする企業が続出、株価だけは独断先行
2020年6月1日 09:13
今年の業績相場は、逆業績相場には至らなかったものの、まだかなりイレギュラーな展開が続いている。コロナ禍で「緊急事態宣言」が発出されて外出自粛や休業要請が1カ月半続くなど経済活動や社会生活に急ブレーキがかかり、需要が瞬間蒸発してしまったからだ。決算発表も、決算集計に手間取って発表を延期する企業が多数にのぼり、決算発表にまでこぎつけても新型コロナウイルス感染症の影響を適正・合理的に算出することは困難として今期予想や配当を未定とする企業が続出した。
前週末29日も、「緊急事態宣言」が全国的に解除され、経済活動が再開されて4日間が経過したというのに、本決算を発表した54社のうち、まだ80%の44社が今期予想業績を未定としたほどだ。「コロナ・ショック」の資金逼迫、資金繰り難対策として日本銀行が、潤沢な資金供給策を発動し、政府も今年度予算に次ぎ第1次補正予算・第2次補正予算と大規模な経済対策の編成を急いだが、期待通りに景気がV字回復するのかなお不透明で、新型コロナウイルス感染症拡大の「第2波」への懸念もあって、影響を見極めたいというのが実情だろう。
ところが株価だけは独断先行し、日経平均株価は、3月19日に突っ込んだ年初来安値から5500円高、34%高の棒上げをした。日銀など各国の中央銀行が供給した潤沢な資金が、余剰マネーとなってマーケットに流入し「コロナ・ショック」相場が一転して「コロナ・バブル」相場様相の需給相場を演出した側面も否定できない。勢い業績相場も後追いとなり、業績評価を前期実績ベースにして減益業績なら悪材料出尽くしとこじつけたり、今期予想業績が大幅減益転換でも業績ガイダンスを出したことだけをポジティブ視したり、予想業績を未定としても配当予想だけを開示した銘柄を株高評価したりするケースが相次いだ。しかし、業績相場が発進するため基礎データの多くが欠落したままでいることだけは否定しようがない。
そこで今週は、自分流の業績相場にチャレンジしてみることとした。ターゲットとするのは、当初の本決算発表時に今期予想業績や配当を未定としていた企業のうち、以来およそ1カ月、早くも今期予想業績を開示した銘柄と、もともと今期業績を開示し時点で連続増益・増益転換・黒字転換を予想した銘柄である。このうちPER評価で割安で、高配当利回りとなる銘柄は、小型株、内需系のウエートが高く、全員参加型の主力株ほどの派手さはないが、いずれセクターローテーションに乗ってくることも予想され、小なりといえども業績相場発進のエンジンと期待されそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)