中国のネット検閲、対象の広がりと共に作業員の需要も増大
2020年5月28日 17:58
中国では政府主導でSNSや報道、Webサイトなどの検閲が行われているが、最近では検閲対象がさまざまな分野に広がっていることから検閲作業員の需要も増大しており、検閲自体が1つのビジネスにもなっているという(「検閲担当者の憂鬱(翻訳)」)。
昨今では検閲のための技術が発達しており、たとえば動画内での会話音声やそこに写り込んだ文字、隠語の利用なども機械的に検出できるというが、それでも人間による検閲は続いており、多くの人員が検閲作業員として検閲に従事しているそうだ。その給与は月4500元(約6万8,000円)ほどで、3交代制でほぼリアルタイムにコンテンツを監視しているという。そのため求人の需要も多く、運営の仕事だと「騙されて」検閲の仕事を始める人も少なくないそうだ。
こうした検閲は、その多くはサービスを運営する企業が自主的に行なっているもので、そのためこういった作業を外注として専門に請け負う企業もあるそうだ。そして、その1つが中国政府公認メディアである人民網なのだという(済南、新しきインターネット検閲の都)。なお、この人民網の検閲部門は多くの大学がある山東省の済南市に拠点を持っており、大学卒業生の大口就職先にもなっているそうだ。
なお、こうしたネット企業による検閲で検閲対象となるコンテンツのほとんどは政治的なものではなく、性的なコンテンツや金銭に関するものなのだという。また、検閲と合わせて、検閲対象ではないが「不適切」と判断されるようなコンテンツに対しそのコンテンツへの流入を減らすような措置も行われているという。