4月のマンション販売、コロナ禍で半減 過去最少の供給に 契約率はアップ

2020年5月28日 08:52

 新型コロナウイルス感染症対策のための経済的自粛が行われてから3カ月になる。当初はインバウンドを中心とする観光業から影響が出始めていたが、徐々に飲食店や小売業などの消費者サービス、これに関連する製造部門へと停滞感は広がりを見せていった。

 仲介・販売・管理などの不動産業でも3月より影響が出始め、来客者数や内覧者数の減少、サプライチェーンの支障による建築資材の調達の滞りなどによって減速感が見られるようになった。

 20日に不動産経済研究所が4月の首都圏のマンション市場の動向についてレポートを発表している。レポートによれば、4月のマンションの新規発売戸数は686戸で、前年同月の1421戸と比べ51.7%の減少、前月の2142戸と比べると68.0%の大幅な減少となった。前月比が落ち込んだのは例年と同様の季節的なものであるが、今年は既に3月自体の数字が大きく落ち込んでいる。

 地域別に発売戸数を見ると東京都区部が420戸で全体に占めるシェアは61.2%、前年同月と比べ42.1%の減少、都下では45戸、同6.6%、73.4%の減少、神奈川県は136戸で同19.8%、55.6%の減少、 埼玉県が74戸で同10.8%、39.3%の減少、千葉県は11戸、同1.6%、88.8%の減少となっており、区部と埼玉を除き大幅な減少だ。ちなみに東京都全体のシェアは67.8%である。レポートでは落ち込みの詳細については触れていないものの「コロナ禍で半減、過去最少の供給に」と新型コロナの影響によるものであることを暗示している。

 発売戸数に対する契約戸数は541戸で、月間契約率は78.9%と善し悪しを決める70%を十分上回っている。前月の70.0%と比べると8.9ポイントの上昇、70%を下回った前年同月の64.3%と比べると14.6ポイントアップとなっているが、発売戸数自体が減少しているという側面がある。

 地域別には都区部が76.4%、都下が84.4%、神奈川県が86.8%、埼玉県が77.0%、千葉県が63.6%と唯一千葉だけが70%に達していない。即日完売物件はなく、フラット35登録物件戸数が632戸で全体の92.1%を占めている。

 5月の発売戸数は500戸の見込みであるが、昨年5月は2206戸であったのでさらに大きく落ち込む見込みだ。このレポートからは見込みの詳細はわからないものの来客数の減少や資材調達の支障など新型コロナの影響も示唆される。(編集担当:久保田雄城)

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