アルゼンチンのデフォルトによるマーケットへの影響は?

2020年5月27日 18:19

●アルゼンチンがデフォルト

 南米アルゼンチン政府が、22日最終期限だった国債の利払い約5億ドル(約538億円)を実行せず、2014年以来の6年ぶり9度目の債務不履行(デフォルト)に陥った。

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 アルゼンチンは、18年の米国利上げを受けて通貨ペソが暴落し、経済危機が深刻化。新型コロナウイルスの感染拡大がさらに財政に追い打ちをかけていた。

 政府は今年4月、2022年まで外貨建て国債の返済を猶予する案など、債務再編案を債権者に提示していたが、拒否された。4月22日だった利払いの支払い期限を1カ月先延ばしして、再編交渉を進めていたが、合意に至らなかったのだ。

●綱渡りの債務返済?

 アルゼンチン政府は、19年8月の急激な通貨下落以来、債務の返済猶予を繰り返しており、そのたびに格付け会社からデフォルト扱いを受けている。それでも交渉で返済条件がまとまり、なんとかデフォルト状態を解消し、しのいできた。

 今回のケースは、約430億ドルも外貨準備高がある中で、利払いを意図的に行わないテクニカルデフォルトとも言われている。

●マーケットへの影響は?

 日本市場では、何か有事があればリスク回避の円買いと言われ、円が逃避通貨として買われて円高となり、輸出企業を中心に株が売られることが多い。

 今回のアルゼンチンのデフォルトはどうなるだろうか?

 まだ6月2日までの協議延長で、アルゼンチン政府と債権者が合意に至ることも期待されている。しかし、2019年12月に発足した左派フェルナンデス政権は、強気の姿勢を崩しておらず、一筋縄ではないかない。

 だがアルゼンチン国債を持っている投資家が損失を受けることは間違いないが、世界的な影響は限定的と考える見方が大勢を占める。

 本当の危機はアルゼンチンよりも、他の新興国への飛び火だろう。

 新興国は、米ドルでの資金調達を行っており、この新型コロナの世界経済への悪影響で、さらなる資金流出が起こる懸念がある。

 すでに2020年に入って、レバノン、エクアドル、アルゼンチンの3カ国がデフォルトしている。第4、第5のデフォルトが出る可能性もあり、今後も警戒する必要がある。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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