大学3年生の五月病 保護者の接し方は?

2020年5月23日 10:04

 大学生の五月病といえば、大型連休明けに授業を休みがちになったり、体調不良を訴えたりすることを指します。これが大学3年生になるとまた別の特徴的な傾向が現れはじめます。自分探しから抜け出せなる人や、早くも自信を無くしてモチベーションが減退してしまう人などが続出するのです。

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 もちろん大学3年生全員がそうなるわけではなく、ごく一部の学生に限られており、実際に選考が始まれば、また気持ちがリセットされて頑張ることが出来る学生がほとんどなので、大きな心配をすることはないと思います。ですが、本人からは悲痛感が感じられることも多いので、保護者としてこの時期の学生の気持ちを理解し、好ましい接し方を知っておいてもらいたいと思います。

■大学3年生からスタートする就職活動

 今日では、大学3年生のスタートと同時に就職活動が始まると言っても過言ではありません。と言うのも、新学年開始早々、大学では進路希望調査が開始され、大手のナビサイトも夏季インターンシップに向けて登録が始まるからです。そうした事情を踏まえ、多くの大学では本格的な就職活動を行うための準備が4月から行われます。具体的には、企業研究やエントリーシートの書き方、面接対策などです。

 これらサポート行事のなかに、自己分析があります。自己分析は自分の長所や短所を再認識すると同時に、エントリーシートで必ずある質問のひとつ、「学生時代に力を入れたこと」を整理するのに役立ちますし、職業選択、企業選択の際にも必要になります。

■3年生の感じるストレスやプレッシャー

 わが国では太平洋戦争後の長きに渡り、終身雇用制度が定着してきました。その是非はここでは触れませんが、雇用の流動性を阻害してきたのは事実です。雇用の固定化と新卒一括採用という慣行により、学生から社会人となるためのたった一度の就職機会に人生の多くが左右されることになってしまいます。

 その一度きりの機会に少しでも良い会社、安定した会社に入りたいと思うのはいささかも不自然ではありません。ですが、学生が一斉にそうした行動に出た結果、毎年大手銀行や大手商社などは採用予定数の数十倍から百倍を超えるエントリーがあります。

 このような傾向は3年生の夏季インターンシップでも見られます。学生の関心は、大手でかつテレビ等で見たり聞いたりした会社に集中しがちです。

 その結果、人気企業の書類選考にまず通過しようと、賢明に自己PRづくりに励むことになります。その他にも、「学生時代に力を入れたこと」を書く練習もはじめます。これがおおよそ4月から5月に行われます。

 学生はいつの時代も、突出した経験をした人はほんの一握りしかいないのですが、とにかく目立つ内容を書こうと、文章にお化粧をする練習を始めます。この時に、自分自身に特に評価されるべき点が見つからないと感じた学生の何割かが、強い不安やプレッシャーを感じてしまいます。

■青い鳥症候群の予備軍

 学生が応募する企業は、先述のとおり大手で名の知れた企業が多いです。でも、そういう企業群に合格できるとは限らないことは学生も承知しています。

 そこで、準大手企業や中小企業も企業研究対象にするのですが、一体何をあつかっている仕事なのか。自分はそこでどんな仕事をするのか。といったイメージがわかないため、他にもっと自分にあった会社が見つかるはずだ、といった青い鳥症候群の予備軍とも言える状態に陥る学生も一定の割合で必ずいます。

■保護者に知っておいてほしい「ジョハリの窓」

 図表(1)は、心理学やキャリア教育科目で使用される、「ジョハリの窓」という考え方です。自分自身について、自分は知っている、自分は知らない、他人は知っている、他人は知らない、の4つの組み合わせで分析する手法です。

 例えばA君の長所について、A君は気づいていないけれども先生や友人は気づいていることは「盲点の窓」という領域に当てはまります。

 そこで、保護者の皆さんに覚えておいていただきたいことは、「未知の窓」です。社会人の方なら皆経験されていると思いますが、仕事等で、今まで全く興味もなければ経験もないようなことが、案外上手に出来ることが希にあります。その時の自分自身は、「未知の窓」に気づいたことになります。

 未知ですから、やってみるまでは自分でも気がつかないのです。まして学生の皆さんは人生経験が浅く、知っていることのほうが少ないのですから、どんどん知らない自分に挑戦してみたら?というように励ましてあげてほしいと思っています。

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