新興国で販売する日産・ダットサンブランドのredi-GO、安全性能では1つ星
2020年5月19日 12:09
日産自動車は、インドネシア、南アフリカ、インド、ロシアなどの新興国を中心に、ダットサンブランドを展開している。ダットサンブランドのエントリーモデルであるredi-GOの突安全性能を、グローバルNCAP(New Car Assessment Program)が実施し、星1つであると2019年のテストで発表している。
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ダットサンといえば、50代以上には懐かしいネーミングではないだろうか。日産では、グローバル戦略として日産ブランド、インフィニティブランド、そして新興国向けにダットサンブランドの3つのブランド展開を行っている。
ダットサンは、2013年にインドのデリーで世界に向けてダットサンゴーを発表し、その翌2014年には、インドネシアでLCGC(ローコストグリーンカー)として発売が開始された。
しかし2014年11月、衝突評価で星0となったことから、グローバルNCAPがダットサンゴーの緊急撤回を要求。その理由は、ダットサンゴーの衝突試験を行った結果、車両の構造は崩壊し、実験車に載せてあったダミー人形への衝撃は、人を死亡させるまたは重傷となる高いリスクがあると分かったからだ。
当時、グローバルNCAPのマックス・モズレー会長は「日産が明らかに標準以下である、まったく新しいモデルの発売を承認したことは、非常に残念」と語っている。そして緊急に再設計を行うまで、インド市場から撤退するよう要請した。しかし、ダットサンはそれに応じることもなく販売を続けてきた。
そして時が流れて2019年、グローバルNCAPが再び衝突安全テストをダットサン redi-GOに行った。その結果は、大人の乗員保護が1つ星で子供は2つ星となり、僅かな安全性能の向上が見られた。
もしプリテンショナーシートベルトを装備し、チャイルドシートを固定するISOFIXチャイルドシートアンカーを装着していれば、評価はもう少し良くなっただろうとしている。
ダットサンGOは、ルノーの同じコンパクトモデルのクウィッドとは同じCMF-Aプラットフォームを使用している。そのため、当初はクウィッドも衝突安全性は低い評価でしかなかったのだが、その後いくつかの改善を行い、2017年の評価では3つ星を獲得している。
また、フォルクスワーゲン・ポロも最初は星0であったが、デュアルエアバッグを装備するなどで、4つ星を獲得するまでに安全性能を高めている。
このように、ローコストのクルマを各社が見直して安全性を高めている中、日産がほとんど手を加えていないことが非常に残念としか言いようがない。ただ、日産インドは、「安全はダットサンの最優先事項である。ダットサンredi-GOはインドのすべての安全基準と規制に適合している」と話しており、安全基準に対する国による温度差も大きな問題なのかもしれない。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る)