企業の広告費、8割以上で昨年の半分以下に さらに削減予定も6割
2020年5月15日 08:34
新型コロナウイルス感染症の影響で経済が停滞している。当初は観光業やイベント業、娯楽業を中心に需要の喪失が生じていたが、自粛が長期化するにつれ経済活動の停滞は全産業に波及してきている。不況が長引くにつれ企業の資金繰りも逼迫し広告予算へ与える影響も大きくなってきているようだ。
市場調査業のGrillが4月下旬に企業の広告等の担当者334名を対象として企業の広告宣伝活動がどのように変化したかを調査し、その集計結果を11日に公表している。
集計結果によれば、「昨年と比較して4月の広告宣伝費はどのような状況か」という問いに対しては、「減少」と回答した担当者の割合は63.5%、「変化なし」が29.9%、「増加」が6.6%となっており、6割を超える企業で広告宣伝費の減少があったようだ。
「減少」と答えた者に「減少の程度」を聞いた結果では、「100%減」が32.1%、「75%減」が34.9%、「50%減」が18.4%、「25%減」が14.6%となっており、50%以上の減少があった企業が85.4%にのぼり、75%以上のみでも67.0%と3分の2を占めている。
売上規模別で見ると、1001億円以上の売上規模の企業においては75%以上の減少の企業は36.6%であるが、301億円から1000億円の企業で64.3%など1億円から1000億円の企業では3分の2の企業で75%以上の予算削減が行われている。1億円以下の企業では75%以上の削減が83.1%にも及んでおり、規模の小さい企業ほど広告宣伝費をより多く削減しているようだ。
広告の種類別に見ると、オンライン広告で75%以上減少した企業の割合は59.9%、オフライン広告では64.6%、イベント・セミナーでは72.0%と、やはり自粛が行われているイベント・セミナーで最も削減率が高く、次いでオフライン広告、さらにオンライン広告でも大幅な削減が行われているようだ。
今後の広告宣伝費の見込みについては、「さらなる予算削減が求められると思う」が59.0%で6割を占め、「現状の予算がしばらく続くと思う」36.8%、「これから予算が増えていくと思う」4.2%となっており、しばらく広告宣伝の予算削減は続きそうだ。
5月以降の方針については「新しい広告手法に取り組む」が72.2%になっており、コロナ終息の目途が立たない中で費用対効果を考慮した新たな広告手法を模索し取り組もうとする企業が増えているようだ。(編集担当:久保田雄城)