バフェット氏が見据えるアフターコロナ
2020年5月13日 18:39
●バフェット氏が航空株を全て売却「世界が変わる」
著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる米国の投資会社バークシャー・ハザウェイが、米国の航空株を全て売却したことが話題となっている。
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2日の年次株主総会で、保有していたデルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空の株式を全て売却したことを明かした。バフェット氏は「大幅な損失を出しても航空株を手放すことを決めた」と語っている。
また、「人々が3~4年後に、昨年までと同じくらい飛行機に乗るかどうかわからない」と悲観的な見通しを語っている。バフェット氏は、新型コロナウイルスの感染拡大によって「世界が変わる」と明言した。
●ウォーレン・バフェット氏とは?
ウォーレン・バフェット氏は、1930年に米ネブラスカ州オマハで生まれ、現在もオマハに暮らしながら投資会社バークシャー・ハザウェイの会長兼CEOを務めている。オマハの賢人とも呼ばれている。
バフェット氏が経営に参画する前のバークシャー社は、米国では斜陽産業と言われていた繊維産業を営んでいた。バフェット氏が買収した後、投資会社に転換してからは順調に業績を伸ばした。1965年にバフェット氏が経営を始めてから、年平均リターン(複利)約20%を50年間続けた。バフェット氏は良い企業を安く買い、長く待つというシンプルな投資手法で知られている。
●これからの米国の経済をどう見ているのか?
総会で発表したバークシャー社の20年1~3月期決算は、保有する上場株(総額1807億ドル)の評価損が膨らみ、最終損益は497億ドル(約5兆円)の赤字で過去最大の損失となった。
大打撃を受けながらもバフェット氏は、米国経済について、2001年の同時多発テロ、2008年のリーマンショックの時と同様、コロナ危機も克服するとの期待感も示している。
20年3月末時点では手元資金が過去最高の1370億ドル(約14兆円)あり、大型のM&Aを模索していたと言われている。しかし今回の総会では、「魅力的な投資先がない」と嘆き、しばらくは見送りそうだ。
バフェット氏は「感染第2波が来たときに、米国社会がどう反応するかわからない」と慎重な姿勢を見せているが、「残りの人生も米国に投資する」とも明言しており、アフターコロナの動きには、今後も目を離せない。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)