トヨタ、フィリピンで新型コロナ対応医療従事者にオンデマンド送迎サービス

2020年5月12日 09:02

 世界各地で感染が拡大している新型コロナウイルス禍は、人命へ深刻な脅威をもたらし、日常生活や社会生活にも大きな影響を与えている。そしてその対策のために、自治体や企業、個人など、社会の各層がそれぞれの役割に応じ、ウイルスとの戦いに臨むが、医療従事者への負担は、増加するいっぽうだ。

 そこで、トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation/TMF)では、4 月中旬から新型コロナウイルス感染症の診断・治療などに携わる医療従事者向けのオンデマンド型シャトルバスの送迎サービスをタイのバンコクで取り組んでいるが、このシャトルバス運行システムを活用し、同じサービスをマニラでも開始すると発表した。期間は、3カ月間を予定するという。

 このプロジェクトは、トヨタ・モーター・フィリピン(Toyota Motor Philippines Corp.)とトヨタ ダイハツ エンジニアリング アンド マニュファクチャリング(Toyota Daihatsu Engineering & ManufacturingCo., Ltd.)の運営支援を受け、フィリピン最大級の国立病院であるフィリピン総合病院(Philippine General Hospital)に勤務する医療従事者を対象に、通勤の負荷軽減、感染予防を目的とし、シャトルバス10 台をオンデマンドで運行するというもの。

 通勤者が携帯電話のアプリから乗降場所と乗車時間を指定すると、シャトルバス内の座席が予約され通勤者の自宅近くまでシャトルバスの送迎を指定できるので、通勤の負担軽減を図る。シャトルバスは、複数の利用者からの要望を踏まえた最適なルートを選定して運行される。また、車内に空気清浄機を設置し、定期的なシートカバー交換、頻繁な清掃など衛生管理が行なわれ、車両の乗客数を制限するなどのガイドラインにも従うという。

 TMF は、2014年8月の設立以来、豊かなモビリティ社会の実現とモビリティ格差の解消に貢献することを目的に、タイ、ベトナム、インド、ブラジルでの交通手段の多様化や、日本の中山間地域における移動の不自由を解消するプロジェクトへの助成のほか、障害者向けの補装具開発を支援するアイデアコンテストの実施、水素研究の助成、人工知能による交通流最適化の共同研究など、世界のモビリティ分野における課題に取り組んできた。

 「ココロハコブプロジェクト」とは、東日本大震災の被災地を支援するために、全国から「心を運ぶ」という気持ちを込めて、トヨタ自動車、トヨタ販売店及びその従業員が、継続的かつ長期的に実施してきた支援活動の総称。今回は、新型コロナウイルス感染症治療に日夜奮闘する医療従事者・政府・自治体関係者に対して、何らかの貢献をとの思いから、グループ力で取り組む支援活動の総称を「ココロハコブプロジェクト」とした。(編集担当:吉田恒)

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