社会人から始める統計 活用の場は様々
2020年5月7日 11:50
■ビジネスパーソンにとっての統計活用シーン
以前に本紙面にて親子で学べる統計について触れたことがあります。本日はその続編です。
【こちらも】今だからこそ親子で統計を学ぼう
私たちビジネスパーソンが日ごろ統計的な資料に触れる機会は様々です。営業パーソンなら、店舗ごとの売上高と利益率の関係資料。カスタマーセンターなら1日の1人当たり顧客応対数と所要時間の資料。工場なら歩留まり率や設備稼働率など。数えればきりがありません。
それら全て、統計資料に分類されます。では、身近で、かつ慣れ親しんだ資料に、どうして新たな統計知識が必要なのでしょう。
■そのアンケート、大丈夫?
顧客満足度を調査したい場合や、単に新しい商品に対する顧客からのフィードバックが欲しい場合などに、私たちはアンケートを用います。
例えば、新規オープンした店舗の顧客からの評価を知りたい場合、アンケートで次のよう質問が行われることがよくあります。
◎今回ご利用いただきました店舗のサービスは十分ご満足いただけましたか?
1.十分満足 2.やや満足 3.どちらでもない 4.やや不満 5.大変不満足
この例は、好ましくない例としてとりあげました。一体どこが好ましくないのでしょうか。
■調査系の統計はアンケートが一番の肝
上の例ですと、回答に「満足」よりのバイアスがかかります。なぜなら、「十分ご満足」という文言に引きずられるからです。顧客は利口なので、「満足」としておけば、いやな客だと思われずに済むということがわかっています。
だから1番か2番を選択する人が多くなります。場合によれば3番を選択する人が最も多くなるかも知れません。これは日本人の文化性そのものがよく現れるのですが、自分の態度を明らかにしたくない、という心理がカタチとして表出するからです。
この例の場合、好ましい質問はこうです。
◎今回ご利用いただきました店舗のサービスについてどうお感じになりましたか?
1.十分満足した 2.やや満足した 3.どちらでもない 4.やや不満足 5.大変不満足
■統計の様々な用いかた
質問さえうまくできるようになれば、あとは数学的なテクニックの問題です。しかるべき方法で勉強すれば、ビジネスの現場で多用することができます。
カスタマー部門や営業部門はもちろん、人事なら360度評価。マーケティング部門なら顧客の購買履歴から消費傾向を分析するビックデータ的手法にも応用できます。
■社会人から統計を学ぶ
このように、統計はビジネスパーソンでも非常に役立つツールです。これからは必須のリテラシーとなるかも知れません。なぜなら、ビックデータの活用や、AIの進歩など、(数学的な)科学が今後ますます重要になるからです。
そこで、今回も宣伝になりますが、今からでも遅くはありません。統計を学んでみませんか?
総務省統計局が、「社会人のためのデータサイエンス入門」という講座を5月19日からインターネットで開講します。受講料は無料です。URLを掲載しておきますので、関心のある方は是非いかがでしょうか。