新型コロナ抗体判定キットを使い遠隔医療相談 都内の診療所グループ

2020年5月6日 13:53

 東京都内で診療所を展開するウェルケア(東京都中央区)と医療施設の運営などを手がけるウェルメディカルグループ(東京都港区)は5日、自宅で新型コロナウイルスに感染したかどうかを推定できるサービスを開始した。自宅に送られる抗体判定キットの結果をオンラインで入力すると、感染の有無を推定し、適切な行動をアドバイスしてくれる。新型コロナウイルスについては、まだ分かっていないことが多く、感染したかどうか確定的な診断はできないが、適切な行動をする判断材料の1つとなりそうだ。

 ウェルケアなどが使う新型コロナ抗体判定キットは研究用で、血液を1滴垂らすと5分ほどで血液中に抗体があるかどうかを判定できる。利用者は、この検査結果を「オンライン遠隔健康医療相談シート」に入力して送信。すると、検査結果に基づいて感染履歴や現在の状況を推定。適切な対応についてのアドバイスが届く。

 抗体判定キットは、粘膜や痰などにウイルスが含まれているかどうかを調べるPCR検査とは違い、血液の中に抗体ができているかどうかを判定する。

 ウイルスに感染すると、IgM抗体とIgG抗体という2つの抗体ができ、IgM抗体は感染初期に出現し早期に消滅。その後。IgG抗体ができて、病気が治った後も血液中に存在し続ける。これを利用すると、新型コロナウイルスに感染したか、もしくは感染して治癒したのかが推定できる。

 検査キットの結果だけでも、ある程度のことは推測できるが、相談シートで症状などを伝えることで、より詳しい状況が推定できるという。

 検査は1人7975円(税込)で、家族でまとめて申し込むと割引がある。申し込みは、https://checkcorona.jp/hp/consul/application.htmlから。

 ただ、抗体検査の精度や、抗体ができれば感染しないのかなど確認されていない点も多く、医療関係者の間では、検査結果を過信する恐れがあるとして抗体検査に慎重な意見もある。

 これについて、ウェルケアの塚田紀理代表理事は「感染したのではないかと不安を抱く人の受診で医療機関が混雑する一方で、感染を恐れるあまり持病の治療をためらう人もいる。こうした状況を改善することも目的にサービスの開始を決めた。判定精度についての議論も承知しているが、まずは自分の健康状態を知ってもらうことで、家族や近親者を守るための適切な行動を促したい」などとしている。

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