米FRB、無制限の金融緩和継続
2020年5月1日 20:12
●ゼロ金利政策などの金融緩和策を維持
米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は、4月29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、ゼロ金利政策などの異例の金融緩和策を維持することを決定した。
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今回の声明文で、新型コロナウイルスの感染拡大に関して「米全土と世界各地に甚大な人的、経済的困難」を発生させているとし、感染対策により、「経済活動が急激に低下」し、「失業率を急増」しているとの認識も示した。
新型コロナウイルス感染の見通しは不透明ではあるが、経済の立て直しに向けて当面は金融緩和策を維持していく方針だ。
●3月から続く量的緩和策
FRBは3月15日にも臨時のFOMCを開き、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた景気悪化への対策として、ゼロ金利政策の復活と量的緩和策を決めていた。ゼロ金利政策の導入は2008年のリーマンショック以来となる。
米国は、2008年のリーマンショック後、FFレートの誘導レンジを年0.00%~0.25%に設定する実質ゼロ金利を導入した。その後、景気回復が見られ、2015年12月21日に誘導レンジを0.25%引き上げた。
その後も段階的に利上げをしてきたが、2019年から景気下振れリスクを回避するため再び段階的に利下げしていた。そして、今回のコロナショックで再び3月にゼロ金利政策に戻していた。
同時にFRBは2008年から2014年まで、国債などの金融機関資産を買い入れて、市場の通貨量を増やす金融緩和を行ってきた。
●今後の見通し
FRBのパウエル議長は、29日のFOMC会合後の記者会見で「4~6月期は過去例のないマイナス成長になるだろう」と指摘した。さらに、「4月の失業率は2桁に急上昇するだろう」とも指摘した。
3月には、非農業部門の就業者数が前月比70万1千人減少した。今後、状況次第ではさらなる雇用情勢の悪化が懸念される。
FRBは3月中旬以降、社債やコマーシャルペーパー(CP)を購入する資金供給策を発動していた。29日の会合でも、米国債や住宅ローン証券(MBS)などの購入の継続も決めた。
今後も米国は大胆な金融政策だけでなく、トランプ政権はインフラ投資などのさらなる経済対策の検討にも着手しており、大胆な財政政策にも注力するだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)