コニカミノルタ、デジタルによる付加価値向上で営業利益1000億円を目指す
2020年4月27日 18:00
コニカミノルタは4月17日、新型コロナウイルスへの感染有無を調べるPCR検査の企業向け受託サービスを、米国で始める準備を開始すると発表した。米グループ会社の遺伝子診断大手Ambry Genetics社で、PCR検査を立ち上げ、1週間に数千件の検体検査キャパシティを持つ予定という。
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コニカミノルタは、1873年に写真材料取扱店として東京で設立されたコニカと、1928年に国産カメラの製造のために西宮市で設立されたミノルタが、2003年に経営統合して設立された。
2019年3月期の売上高は1兆591億円。事業別の構成比は、複合機やITサービスなどのオフィス事業が55.5%、デジタル印刷や印刷業務プロセスなどのプロフェッショナルプリント事業が21.5%。以下、ヘルスケア事業が8.6%、計測機器や、プラネタリウムなどの産業用光学システム分野といった産業用材料・機器事業が11.0%、新規事業その他が3.4%を占めるコニカミノルタの動きを見ていこう。
■前期(2019年3月期)実績と今期見通し
前期売上高は1兆591億円(前年比2.7%増)、営業利益は前年よりも86億円増の624億円(同16.0%増)であった。
営業利益増加の要因は、複合機でカラー機が伸長したオフィス事業が23億円、カラー機、モノクロ機が増加し、産業印刷ユニットでインクジェットデジタル印刷機が大幅に増加したプロフェッショナルプリント事業が45億円、新規事業その他で八王子、日野の土地売却などで75億円の増益となった。一方、デジタルラジオグラフィーが米国で前年よりも減少したヘルスケア事業が32億円、顧客のディスプレイ関連投資の減少により産業用材料・機器事業が26億円の減益であった。
今期は、米中貿易摩擦や中国経済の減速などで売上総利益が231億円減となり、加えて、前年に土地売却益などが202億円あった反動もあり、減収減益予測だ。今期第3四半期累計(4-12月)実績は、売上高7,470億円(前年同期比3.9%減)、営業利益106億円(同79.1%減)の中、通期では、売上高1兆450億円(前年比1.3%減)、営業利益200億円(同68%減)を見込んでいる。
■中期経営計画(2017年3月期~2020年3月期)による推進戦略
デジタルによる付加価値の向上で基盤事業を強化。成長事業、新規事業を高収益化し、2022年3月期に営業利益1,000億円(対前期比60.3%増)を目指す。
●1.オフィス事業:
複合機単体での販売から顧客の総務、経理、営業などのビジネスプロセスを一括管理するハイブリッド販売を推進。成長市場の拡大、新規事業で複合機にサーバーを搭載し、現場でデータ分析効率化を推進するIOTプラットフォームによるWPH事業を進める。
●2.プロフェッショナルプリント事業
成長市場でのカラー機拡大、成長事業として独自の技術により必要日数を大幅に短縮する産業印刷を推進。
●3.ヘルスケア事業
デジタルX線の販売増、成長事業として医療ITの拡大、新規事業として遺伝子検査ビジネス加速、病理検査への参入などバイオヘルスケア事業を推進。
●4.産業用材料・機器事業
高付加価値製品で新規顧客獲得、成長事業として有機ELの売上拡大、新規事業としてケアサポートソリューションの収益化。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)