どうする資産運用 コロナ禍でも投資初心者ができること

2020年4月26日 20:13

 2019年、金融庁ワーキンググループが、いわゆる「老後資金2000万円不足問題」について取りまとめ発表したことの衝撃から約1年。昨年の今頃は、まさか1年後に、このような新型コロナウイルスによって、世の中が混乱していると誰が予想できただろうか。

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 資産運用を全く経験していなかった人でも、老後資金不足の報道を受け、慌ててiDeCoや、つみたてNISAを始めた人も多く、特にインターネットでの取引口座開設数はここ1年で倍増しているという。

 何か始めよう、と思ったままで、まだ資産運用を何も始めていなかった人や、昨年から始めたばかりで運用に不安のある人は、このコロナ禍で相場をどう捉え、どう動いたら良いのか。

 投資初心者の場合、基本的には株価や世界情勢にあまり左右されない、iDeCoやつみたてNISAをコツコツと継続するのが得策である。これから何か始めようと考えている人にも、この2つを是非おすすめしたい。

 iDeCoとつみたてNISAは、いずれも長期投資を前提とした商品であり、なるべく元本を守りながら少しずつ積立投資をするイメージである。いずれの商品も、爆発的に資金が増えるという商品ではないが、少なくとも老後資金を作る面では、さまざまなメリットが考えられる。

 iDeCo(個人型確定拠出年金)は、確定拠出法に基づいて実施される私的年金のことである。あくまでも任意加入であり、加入義務義務のある国民年金に未納や滞納などがあると、基本的には始めることはできない。

 iDeCoを始めるには、自身で商品を組み合わせて掛け金を設定する必要があるが、iDeCo公式サイト等でシミュレーションを用いて簡単に選ぶことができ、比較的簡単に開始することができる。

 iDeCoの最大のメリットは、税制上の優遇である。月々の掛け金だけでなく、運用益、さらに将来の受取額に対しても税制上の優遇措置が講じられている。デメリットとしては、基本的に中途解約は一切できないということである。同時に、運用期間中の一時的な資金引き出しもできない。

 iDeCoで運用できる商品は、大まかに2種類に分けられる。ひとつは「元本確保商品」として、主に定期預金や生命保険などが挙げられる。これらは元本の確保を重視しているため、大きく増やすことはできないが、それでも掛け金などが控除対象であることを考えると、安心して安全に運用でき商品ではないだろうか。

 もうひとつは「投資信託」である。投資信託の中には、さらに「国内債券型」「外国債券型」「国内株式型」「外国株式型」がある。他にも「バランス型」と呼ばれる、最初から複数の投資対象をバランス良く組み合わせた商品もあり、特に投資初心者で、運用の知識に自信がない場合に良く選ばれているという。

 つみたてNISAは、長期、積立、分散投資を支援するための非課税制度として、2018年1月からスタートした比較的新しい資産運用である。運用対象の商品は、金融庁が「販売手数料が無料である」など、一定の基準を設けて審査し、認可されたもののみ選んで購入することから、金融に対する知識が薄い初心者でも安心して購入することができる。

 つみたてNISAで選べる商品の内訳としては、公募株式投資信託と、上場株式投資信託のみである。

 つみたてNISAのメリットは、毎年40万円の投資金額の範囲内で、最長20年の非課税期間が設けられていることである。また、少額から運用開始できることも、初心者にとっては始めやすいポイントである。デメリットとして考えられるのは、従来のNISA制度との併用ができないことくらいである。

 iDeCoとの最大の違いは、つみたてNISAは、「中途解約や、資金の一時引き出しが可能である」という点。もちろん、本来の意図である長期運用の側面から、中途解約や引き出しは行わない方が良いし、そうならなくても良い位の金額で運用しておくことをおすすめする。だが昨今のコロナウイルスの影響などで、一時的に給与減少が見込まれる場合など、やむを得ない場合の緊急資金として活用できることは有難いと言える。

 iDeCoもつみたてNISAも、株価の大暴落や、金の価格高騰など、コロナ禍におけるマーケットの動きにあまり左右されず、長期的に淡々とすすめることができる資産運用の代名詞である。いずれも少額からスタートでき、税制面での優遇もあることから、これから何か始めようと考えている場合はこの2つをおすすめしたい。

 すでにこれらで運用をしている場合は、マーケットの動きに一喜一憂せず、長期運用の安全性を信じ、引き続きそのまま運用し続けることを改めておすすめしたいところである。(記事:大野 翠・記事一覧を見る

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