クラウドソーシングの副業は稼げないのか? (6) 「報酬アップ交渉術」
2020年4月26日 17:38
前回に引き続き、今回のテーマも「報酬アップ」だ。クラウドソーシングで副業を始めて戸惑うのは、報酬アップの方法ではないだろうか。マニュアルやマナーが決まっているわけでもなく、ネットで情報が公開されているわけではない。本記事では、報酬アップの具体的な交渉術について触れていく。
【前回は】クラウドソーシングの副業は稼げないのか? (5)「報酬アップの罠」
■複数の案件で同時に報酬アップ交渉はおすすめできない
前回でも触れたが、必ずしも報酬アップが収入増には繋がらない場合もある。副業者側は、報酬アップによる収入増をシンプルにイメージするだろう。しかし、クライアント側からすればそれはコスト増であり、対応を考えることになる。
例えば発注量を減らし、他の低コストな副業者でその穴埋めをするといったようにである。副業者は収入増を期待して報酬アップ交渉に成功したとしても、収入自体は変わらないか、むしろ減る場合もあるのだ。それは、消費増税による買い控えや、一時的な消費の落ち込みに似ている。
ただ、人間は環境に慣れていくもので、しばしば忘れがちだ。時間の経過により、クライアントも報酬アップ後の”新価格”に慣れていく。筆者の個人的な経験だが、ケースにより、およそ6カ月から10カ月程度で発注量が戻る傾向にある。
そのため、複数の継続案件で同時に報酬アップ交渉を行うことはおすすめできない。時期をずらしながら、報酬アップ交渉を行っていくのが賢明だろう。短期的には収入増を実感できないが、長期的に見れば確実にあなたの収入は低リスクで増えていく。
くれぐれも短気を起こさず、根気強く長期的視野で行っていくことが鍵だ。仕事のクオリティさえ良ければ、クライアントはあなたに発注してくれる。少々コストがかかったとしても、質を優先すべきだと思い直してくれるのだ。
■報酬アップ交渉で求められるのは”コミュニケーション能力”
クラウドソーシングの副業は、オンライン上のやり取りがほとんどだ。顔が見えないからこそ、より相手の考え方や気持ちに想像力を働かせなければならない。つまり、コミュニケーション能力の高さが求められる。
お金に関わる報酬アップ交渉では、よりコミュニケーション能力の高さは重要だ。クライアントの気分を害さず、かつ副業者の目的も果たさなければならない。”正当な権利”は、確かに文字の上では正しいだろう。しかし、相手は人間で、機械的に処理してくれるわけではない。
そのため、”正当な権利”を正面から強く主張するのも、時には間違った判断になり得る。適度に遜りながらも、しっかり副業者の主張もするバランス感覚が必要だ。遜り過ぎてもいけないし、かといって高圧的なのは厳禁だ。オンライン上というのは、相手の顔が見えない。SNSがそうであるように、その特性は人間を大胆にさせる。
時には互いに配慮に欠けた言動ともなり、報酬アップ交渉も難しくなってしまう。だからこそ、想像力を働かせる”コミュニケーション能力”が重要になるだろう。(記事:西島武・記事一覧を見る)