3月にプラスだったヘッジファンド型投信は5本 自動運用の裁定取引ファンドに注目

2020年4月24日 17:37

 NYダウが過去最大の下落を見せた3月に、プラスとなったヘッジファンド型投信は5本あった。

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 ヘッジファンド型の特徴の1つは絶対収益追求型だ。相場の上昇や下落に影響されない投資戦略が魅力の1つだが、多くのヘッジファンド型投信は苦戦したようだ。

 3月にプラスとなったヘッジファンド型投信の内、「あい・パワーファンド(愛称:iパワー)」は2019年4月の設定以来一貫して上昇してきた。実力を探る。

■3月にプラスになったヘッジファンド

・+9.27% ノムラ・グローバルトレンド(円)年2回(運用会社:野村)
・+3.23% ロボット戦略 世界分散ファンド(T&Dアセット)
・+2.54% AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(三菱UFJ国際アセット)
・+0.43% あい・パワーファンド(あいグローバル)
・+0.09% AR国内バリュー株式ファンド(アセマネOne)

 モーニングスターより「ヘッジファンド」と分類される投信で、2019年3月31日時点の直近1カ月リターンがプラスとなった投信は上記5本だ。

 最も大きなリターンを稼いだのは「ノムラ・グローバルトレンド(円)年2回」だ。3月は9%以上のリターンがあった。世界の先物取引を駆使し、米ドルベースでの絶対収益を追及する。

■あいパワー以外は月の騰落にバラツキが見られる

直近1年のリターン(月間リターンがマイナスの回数、月間最大下落率)
・+14.90% ノムラ・グローバルトレンド(円)年2回(5回、6.10%減)
・+11.05% ロボット戦略 世界分散ファンド(4回、3.73%減)
・6.91%減  AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(11回、4.15%減)
・+3.07%  あい・パワーファンド(2回、0.04%減)
・6.73%減  AR国内バリュー株式ファンド(5回、3.48%減)

 絶対収益と謳う以上、どんな環境でもリターンを稼ぐのがヘッジファンド型の理想だろう。しかし実際にはそう上手くいっていないようだ。直近1年間のトータルリターンや月間リターンでは騰落にバラツキが見られる。

 「あい・パワーファンド」は直近1年間でマイナスになった月はわずか2回で、月間の下落率は最大でも0.04%だ。年4.166%という高い信託報酬をこなし、3月末までに約3%の年間リターンを確保した。

 同投信は特定のポジションを取らず、為替の裁定取引(アービトラージ)を繰り返す投資戦略を取っている。STI社のシステムを利用した、いわゆる自動取引を行う投信だ。

 ポジションを持たないため、理論上は相場の変動で損失が発生しない。

■設定の若さとシステム運用のリスクには懸念

 現時点までは運用が上手くいっているが、まだ新しい投信で歴史が浅い。今後も好成績が続くかは不透明だ。販売会社の楽天証券が11月に販売を停止した点も気になる。

 また利用しているシステムに障害が生じるリスクや、裁定取引が成立しないリスクも存在する。同投信独特のリスクにも留意したい。(記事:ファイナンシャルプランナー・若山卓也・記事一覧を見る

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