新型コロナの死亡率とPCR検査陽性率との間に相関を確認 千葉大の研究

2020年4月22日 12:19

 新型コロナウイルス感染症は世界的に猛威を振るっており、どの国も自国の対応で精一杯な状況が続いている。そのような状況を千葉大学の研究グループは鑑みて、世界各国の状況を科学的に解析し感染症終息の戦略を見出す取り組みを行ったと21日に発表した。本研究の詳細は研究データの査読前論文公開サイト「Preprints」に掲載されている。

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 研究グループはまず、各国の人口1億人当たりの死亡者数データを機械学習で解析した。その結果、世界の多くの国で感染拡大の30日後には1日当たりの死亡者数は一定となることが明らかになった。さらに重要なことに、西洋におけるその推定値はアジア地域の100倍程度の著しい差が見られた。地域差の原因が遺伝的要因によるものか環境的な要因によるものかは明らかではない。

 さらに研究グループは条件が比較的近い西洋諸国において、死亡者数とPCR検査の状況を比較した。人口当たりの死亡者数とPCR検査数との間に関係はなかったが、検査陽性率と死亡者数との間には明確な相関が確認された。陽性者数が7%未満の国の死亡者数は、それ以外の国の15%程度の死亡者数であった。

 これらのデータから研究グループは、「7%未満の陽性率を保つことが、死亡者数の抑制に重要」であるとの考えを述べている。つまり、十分なPCR検査を実施することで死亡者数を低くできるのではないか、ということである。研究グループはこの理由として、早期感染者の発見や重病者の迅速な入院などを挙げている。結論としてはPCR検査を濃厚接触者以外にも幅広く拡充させることが急務であるとのことだ。

 ただし、PCR検査数を増やすことは医療従事者の負担を今以上に大きくすることにもつながるため、慎重さが求められる。また今回の研究成果は、あくまでPCR検査の陽性率と死亡者数との間に相関が確認されたという点が主要な内容である。つまり、その二者に明確な因果関係があるとは限らず、他の要因が根本的な原因となっている可能性も十分に考えられる。

 これらの背景を総合的に踏まえた上で、社会全体で臨機応変に医療体制をサポートすることが必要である。

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