コロナショックでも衰えない個人投資家の長期積み立て投資
2020年4月21日 17:39
新型コロナウイルス感染拡大によって、世界経済は混迷を極めている。日本経済も例外ではなく、株価は大幅に下落した。経済の先行きに不安を覚えた投資家が、持ち株を売りに出したからだ。
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一方で、コロナ・ショック渦中でも、積み立て型少額投資非課税制度(つみたてNISA)への買い付け額は減少していない。背景には、長期積み立て投資の普及がある。
■コロナ・ショック渦中でも堅調な長期積み立て投資
日本では3月に入り、新型コロナウイルスの影響で株価が大幅に下落した。しかし、つみたてNISA商品に対する、3月中旬ごろの買い付け額は1月、2月と比べ増加した。
楽天証券では、2020年3月15日時点の積立額が昨年の2019年3月末に比べ、倍増していると発表。SBI証券でも、積立額は堅調に推移しているようだ。
■若年層と初心者層の新規参入
なぜ、コロナ・ショック渦中で、長期積み立て型の投資額が増えているのか。背景には、株価下落を好機と捉えた若年層と初心者層の新規参入がある。
楽天証券の2020年2月の月間新規口座開設数は、初めて10万口座を超えた。そのペースは、現在も加速している。
■つみたてNISA開始に伴う投資リテラシーの向上
つみたてNISAは、2018年から始まり、税制上の優遇措置の良さが大きく注目された。つみたてNISAを使った投資法についての情報が本や雑誌、インターネットサイトなどから広く宣伝されることとなった。
投資情報に触れたことで、若年層と初心者層の投資リテラシーは向上する。そして、コロナ・ショックの株価下落をチャンスと考え、一気に参入したのだ。
2019年末のつみたてNISA口座数は約189万口座で、1年前から82%増加している。新規参入者の急増は、著しい。
■ドルコスト平均法
一定の金額を積み立て、投資信託の口数を株価が高いときは少なく、安いときは多く購入するドルコスト平均法という考え方がある。その考えに基づくと、コロナ・ショックで株価が下がった今は、多くの口数を買えるチャンスになる。
コロナ・ショックを機に新規参入した人の多くが、ドルコスト平均法の考えを前提にしているとうかがえる。世間的な投資リテラシー向上が見て取れる。
■コロナ後の投資環境
コロナ・ショック中でさえ、つみたてNISAを利用した長期積み立て投資が衰えない。その背景には、投資リテラシーを向上させた若年層と初心者層の新規参入がある。投資への関心と学習意欲が強まるのは、日本経済にとって明るい兆しであると言える。
コロナ後は、経済的な混迷はさらに深まるかもしれない。ただ、危機感が高まるからこそ人は行動を起こす。一投資家として、コロナ後のさらなる投資環境の発展と一人一人の投資リテラシーの向上を期待している。(記事:たけお・記事一覧を見る)