Delta-Fly Pharmaは底打ち

2020年4月15日 08:14

 Delta-Fly Pharma<4598>(東マ)は新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャーである。既存の抗がん活性物質を利用するモジュール創薬という独自コンセプトを特徴としている。株価は反発の動きを強めている。底打ちして出直りを期待したい。

■新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャー

 新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャーである。既存の抗がん活性物質をモジュール(構成単位)として利用し、創意工夫を加えてアセンブリ(組み立て)することで、新規抗がん剤を創製するモジュール創薬という独自コンセプトを特徴としている。基礎研究がほとんど不要となり、臨床での有効性と安全性の予測が可能となるため、一般的な抗がん剤開発に比べて研究開発の期間が短く、かつ臨床試験で失敗する開発リスクも低減される。

 ビジネスモデルとしては、研究開発のマネジメント業務に集中し、具体的な業務については外部の研究開発受託会社や製造受託会社に委託している。効率的な運営を特徴としている。

 収益モデルとしては、研究開発段階では提携製薬会社からの契約一時金、マイルストーン、開発協力金が主な収入となり、提携対象製品が上市に至った場合は売上高に応じたロイヤリティ収入を得る。

■開発中のパイプライン

 開発中のパイプラインは、難治性・再発急性骨髄性白血病を対象疾患とする抗がん剤候補化合物DFP-10917(米国で臨床第3相試験中、日本で臨床第1相準備中)、肺がん等を対象疾患とするDFP-14323(ウベニメクスの適応追加、日本で臨床第2相試験中)、膵がん等の固形がんを対象疾患とするDFP-11207(米国で臨床第2相準備中)、固形がん・血液がんを対象疾患とするDFP-14927(米国で臨床第1相試験中)、腹膜播種移転がんを対象疾患とするDFP-10825(前臨床試験中)、固形がんを対象疾患とするがん微小環境改善剤DFP-17729(臨床試験準備中)である。

 DFP-10917は日本で日本新薬、DFP-14323は日本で協和化学工業と提携している。

 DFP-14323については、日本国内での製造販売権を付与している協和化学工業から19年8月、既承認薬ウベニメクスとの生物学的同等性試験によって同等性を検証し、ウベニメクスの後発医薬品の製造承認を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請したとの報告を受けた。協和化学工業は申請後1年程度で製造承認取得を見込んでいる。20年3月には国内臨床第2相試験の症例登録が完了した。なお臨床第3相試験(大規模比較試験)は、日本と中国での合同試験の実施を目指し、中国の製薬会社と交渉を開始している。

 DFP-17729は、18年11月出願した特許(がん細胞の代謝の特異性に基づく新規抗悪性腫瘍剤)が、19年8月日本に続いて韓国でも成立した。19年8月には、新たな特許(抗がん剤の効果増強剤)を出願した。また20年3月には日本ケミファ<4539>に対して日本国内における独占的販売権、および日本国内で販売するための独占的製造権を付与するライセンス契約を締結(20年3月期に契約一時金を売上高に計上)した。

 DFP-14927は18年10月米国で物質特許成立、18年12月米国FDA(食品医薬局)へIND(臨床試験用の新医薬品)申請、19年1月米国FDAによるIND安全性審査が完了して米国での第1相臨床試験の実施が許諾された。19年7月には日本でも物質特許が成立した。

 19年2月には北米における臨床開発事業の拡大に伴ってバンクーバー事務所を開設した。DFP-10917第3相臨床試験、DFP-11207第2相臨床試験、DFP-14927第1相臨床試験を推進する。

 またDFP-10917は、米国MD Anderson Cancer Centerを中心に臨床第3相(単剤療法)を進めているが、19年4月にDFP-10917と難治性・再発慢性リンパ性白血病治療薬Venetoclaxの併用臨床試験の検討を開始すると発表した。19年11月には、米国でのDFP-10917第3相臨床試験およびDFP-14927第1相臨床試験について、症例登録開始の報告を受けたと発表している。

 20年3月期の業績(非連結、3月24日に売上高を上方、利益を下方修正)予想は、売上高が1億円、営業利益が15億20百万円の赤字、経常利益が15億27百万円の赤字、純利益が15億31百万円の赤字としている。研究開発費を含む販管費が増加する。

■株価は底打ち

 株価は反発の動きを強めている。底打ちして出直りを期待したい。4月14日の終値は905円、時価総額は約41億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

関連記事

最新記事