従来のヒトコロナウイルスは季節性が高い 米大学の研究
2020年4月14日 12:38
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者が4月以降も国内で増加傾向にあるなか、気温が高くなる5月以降も同様の傾向が続くかどうかは不明だ。だが、従来存在するヒトコロナウイルスは、季節性が高いという研究が米ミシガン大学アナーバー校から6日に報告されている。
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■ミシガン州で調査
ミシガン州アナーバーでは、子供のいる家庭を対象とした呼吸器系疾患についての縦断的研究が、2010年実施されている。この調査は、HIVE(家庭用インフルエンザワクチン評価)と呼ばれており、2010年から10年間に数百の家庭から1000人前後が参加している。
調査では、7種類あるヒトコロナウイルスのうち、OC43、229E、HKU1、NL63といったヒトコロナウイルスの発生も、2010年から追跡。ミシガン大学アナーバー校の研究グループは、993ある感染症例に関して頻度や季節性、家庭内伝染について調査した。その結果、コロナウイルスの感染症例の大部分が12月から5月にかけて発生していることが確認された。感染のピークは1月から2月の間で、6月から9月の間での感染症例は、260しかなかったという。
このほかにも、993の感染症例のうち260例が家庭内での接触による伝染であることや、5歳未満と50歳以上での症状が重度として分類される傾向が高いこと等が判明した。
■新型コロナウイルスに適用可能かは不明
研究グループによると、今回の研究結果は新型コロナウイルスが季節性かを判別するものではないという。従来のコロナウイルスはヒトの呼吸器における病原菌であり、症状は軽度だ。それに対し、新型コロナウイルスはコウモリに由来する病原菌であるといわれており、重度の呼吸器症候群を引き起こす。
残る2種類のコロナウイルスである、重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)も、動物に由来する病原菌によって引き起こされている。
ただ今回の発見が、研究者が新型コロナウイルスによるパンデミックの最中での備えには役立つだという。研究グループのひとりである同大学のArnold Monto教授は、「新型コロナウイルスが(季節によらず)続くかどうかは、時間だけが教えてくれる」述べている。
なおHIVEでは、新型コロナウイルスの追跡も実施している。(記事:角野未智・記事一覧を見る)