自動車業界4団体が共同でファンド設立へ 零細部品メーカーなどを支援

2020年4月11日 08:52

 自動車業界の4団体が10日、中小零細の部品メーカーなどの存続支援を目的として新規ファンドの設立を発表した。新型コロナウイルスの自動車業界への影響を懸念し、関連企業の救済を行う構えだ。

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 ファンドを設立するのはトヨタ自動車社長の豊田章男会長が率いる日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車機械器具工業会、日本自動車車体工業会の4団体。10日の発表では豊田会長が会見を開いたほか、残る3団体の代表もそれぞれインターネット中継で参加。新型コロナウイルスの社会的影響を受け、自動車部品などの製造に関わる中小・零細企業の経営悪化が懸念される中、4団体がファンドにより金銭面でアシストする考えを明らかにした。

 現に国内の自動車業界でも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、労働者の安全確保や海外からの部品調達の遅れなどを理由に、工場が活動できない事例が相次いでいる。7日発令の緊急事態宣言もあり、外出が大きく減れば自動車販売店を訪れる人も少ない。メーカーの業績悪化は避けられない見通しで、彼らをサポートする関連企業が受ける打撃も大きい。特に中小・零細企業は資金的な体力が少ないところも多く、このままでは倒産が続出するかもしれない。

 豊田社長ら4団体の動向は、新型コロナウイルスの影響で仕事を失いかねない人を一人でも多く救ううえで重要と考えられる。今回のファンドはいわば「自動車業界のセーフティーネット」というイメージだろう。豊田社長は今回の会見でファンドの具体的な活動計画について明言は避けているが、多くの労働者を作るために大きな規模になることを示唆している。加えて人材と企業のマッチングに対してもサポートする構えも示した。人工呼吸器メーカーへの量産ノウハウの提供など、感染拡大防止や感染者の回復につながる物資面での協力も行うという。

 世界を揺るがすコロナショックを乗り越えるべく、自動車業界が立ち上がった。今回登場したファンドがどのような救済を行うかに期待がかかる。

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