映画『ホテルローヤル』桜木紫乃の直木賞受賞作が実写化、ラブホテルが舞台の繊細な人間ドラマ

2020年4月6日 08:13

 桜木紫乃のベストセラー小説『ホテルローヤル』が実写映画化。2020年冬に全国の劇場で公開される。

■桜木紫乃の直木賞作品が実写映画化

 『ホテルローヤル』は、2013年に第149回直木賞を受賞し、累計発行部数85万部を超える桜木紫乃の代表作。発売元の集英社で「ここ5年で発売した中で最も売れた」単行本・電子書籍としても知られ、多くのファンから愛されている。

物語の舞台となるのは、北海道の湿原に佇むラブホテル。現在から過去へ時間軸を遡り、ホテルの盛衰とそこを訪れる人々の生と性を、切なくもみずみずしいタッチで描いた七編からなる連作小説だ。

 映画では、ホテルの経営者家族の一人娘・雅代を主軸としたストーリーを展開。原作の持つ静謐な魅力をそのままに、閉塞感のある日常を離れ、ホテルローヤルの扉をひらく男と女、問題を抱える経営者家族、従業員のそれぞれの人生模様を描く。

■『百円の恋』「全裸監督」の武正晴が監督

 メガホンをとるのは、『百円の恋』で日本アカデミー賞をはじめ国内外の映画賞を総なめにした武正晴。近年は『嘘八百』『』『嘘八百 京町ロワイヤル』に加え、Netflix「全裸監督」の総監督と精力的に活躍する武が、ホテルローヤルを舞台にした人間模様を繊細に描き出す。

脚本はNHK連続テレビ小説「エール」を手掛ける清水友佳子が担当。人間の抱える欲望や優しさ、悲哀を丁寧にすくい上げ、珠玉の人間ドラマを綴る。

主要キャストは2020年4月時点では未発表。直木賞受賞作の映画化に、どのようなキャストで挑むのか期待が高まる。

■原作者・桜木紫乃のコメント全文

 なお映画化にあたり、原作者の桜木紫乃は下記のようにコメントを寄せた。

あの日あの場所にいたかもしれない人を、小説というかたちで裸にしたと傲慢にも信じていたので、映像化のお話をいただいたときは「遠慮なく好きに作ってくださいね」などと言っていた。しかし新たな姿で目の前に現れた「ホテルローヤル」は、あの日あの場所にいたかもしれない経営者やホテルに集う「家族」の物語となっていた。正直に言うと映画という表現に書き手の内面を素っ裸にされたような気持ちになった。脱がせたつもりが脱がされていた――エンドロールで泣いてしまうという失態。悔しかった。

【詳細】
映画『ホテルローヤル』
公開時期:2020年冬
監督:武正晴
脚本:清水友佳子
原作:桜木紫乃「ホテルローヤル」(集英社文庫刊)

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