洋書多読が苦手な人におすすめの2人のアメリカ人作家
2020年4月6日 11:48
英語学習において、「多読が大切なことはわかっているけれど、読書は苦手だしニュース記事にも興味がない」という人は、少なくないだろう。そんな人におすすめしたのが、今回紹介するLouis SacharとAndrew Clementsという2人の作家だ。
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■何を読めば良いかわからない人のために
英語力のアップにとって多読の必要性は言わずもがなだが、実際に毎日大量の英語を読んでいる人は、そう多くないのではないだろうか。一般向けのペーパーバックには手が届かないし、かといって、絵本などの易しい児童書ではつまらなくて続かないという話はよく聞く。
「それなら英語のニュース記事を読め」という人もいるが、ニュースに興味がある人ばかりではないし、チャレンジしたものの結局やめてしまう人が大半ではないだろうか。やはり英語学習とはいえ、読んでいる間、手に汗握るほど熱中できる内容がベストだろう。
そこでおすすめしたいのが、冒頭に挙げたLouis SacharとAndrew Clementsという2人のアメリカ人児童文学作家だ。「子ども向けの本なんて退屈だ」という声も聞こえそうだが、そういう人にこそ未読ならぜひ1度読んでもらいたい。勉強のために英語を読むのではなく、英語と意識せず純粋に読むことの楽しみを教えてくれる作家だからだ。
■Louis Sachar
英語多読の世界では、Louis Sacharは非常に有名なため、知っている人も少なくないだろう。特に『Holes』という1998年に発表された作品は、全米図書賞とニューベリー賞というアメリカで最も権威ある賞を受賞。『穴』というタイトルで日本語にも翻訳もされているうえに、映画化までされている。矯正施設に入れられた不遇な少年を主人公とした壮大な物語で、子ども向けとは片付けられないほど重厚な作品だ。
『Holes』が特に有名なSacharだが、個人的にはそれ以外の作品群にも優れたものが多い印象だ。英語自体は初学者でも十分読み進められるレベルであり、初めての洋書として広くおすすめしたい。
■Andrew Clements
Andrew Clementsは、Sacharに比べると日本での知名度は低いかもしれない。しかし、母国アメリカでは数え切れないほどの文学賞を受賞しており、多数の著作がある超メジャー作家だ。
代表作は『Frindle』という1996年の作品で、『合言葉はフリンドル!』という邦訳で翻訳もされている。「もし、みんながペンのことを”pen”ではなくて”frindle” と呼び始めたらどうなるだろう?」という軽いイタズラ心から、全米を巻き込む騒動に発展するという物語だ。
Clementsの作品では、大人との対立はあるものの、子どもは大人に対して底流では絶対の信頼感を持っており、大人もその信頼に応える善人が多い印象だ。だからといって偽善的な雰囲気は微塵もない。優れた人物描写と巧妙なプロットゆえ、純粋に「良い本を読んだ」という充実した読後感を与えてくれる。
■最初に優れた作品と出会うことの大切さ
両作家とも児童文学に分類されるが、彼らの作品は大人にも十分な読み応えがあるものばかりだ。子ども向けではあっても良質な作品であり、決して子どもだましではないことを保証する。こうした優れた作品と最初に出会うことができれば、「洋書多読はつまらない」という偏見に陥る心配はないだろう。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る)