同一労働同一賃金スタート! 正社員の収入が大幅ダウンとの噂の真相は?

2020年4月3日 11:13

 2020年4月1日、いよいよ大手企業にて「同一労働同一賃金」がスタートした(中小企業は翌年からの導入)。この制度によって、基本的に同じ仕事をする正社員と非正規社員との賃金格差が改善される。厚労省の説明では、正規と非正規の雇用上の不合理を解消するとあり、派遣やパート・アルバイトの処遇改善が大きなテーマだ。

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 この制度導入によって非正規雇用の収入はややアップし、正社員の収入が大幅ダウンとの見解が専らだ。

 多くの企業が正社員の待遇切り下げに踏み切るだろうと予想されている。非正規労働者が労働者全体の40%に膨らみ、今後もフリーランスなど非正規労働者は増えていく。2,000万人を超える非正規雇用を正社員待遇に引き上げるなど、今の日本にはかなり無理なことである。

 その根拠として日本郵政の事例がある。2018年4月、日本郵政グループは5,000人もの正社員の住宅手当の廃止を提案、同時に非正規社員には一部手当を支給する方針を決定した。これは春闘の労使交渉中で出された方針だ。これを見る限り、他の大企業も正社員の賃金ダウンで非正規雇用との溝を埋める可能性が高い。

 さらに深読みすれば、非正規雇用の解雇条件に正社員を適応させることも可能になる。経営難に直面した場合、最も負担となる人件費削減を模索するのが経営者で、この制度の拡大解釈で解雇が容易になるかもしれない。

 ただ、いくら制度解釈であろうと露骨な賃金カットや解雇はカンタンではない。そこで給与システムを能力給へ大きくシフトさせることも考えられる。同一労働の部分を縮小し、能力給をプラスするのだ。これで実力のあるものは高給を維持し、同時に会社は人件費の圧縮に成功する道が見えてくる。

 まとめておこう。今回の制度が正社員へ与える影響は主に3つだ。

 ・賃金ベースが非正規雇用よりに下がる
 ・解雇や雇用変更が今まで以上に容易くなされる
 ・能力のある社員に能力給をプラスする

 非正規社員への影響は主に3つ。

 ・若干賃金がアップする
 ・雇用止め、解雇が増える
 ・短時間労働が増える

 なお、制度導入にあたって当面は訴訟を含めたトラブルが頻発するだろう。先の日本郵政では、この2月に非正規社員150人が待遇不十分と訴えている。また去年12月に大手派遣業者と大阪の工業用機器施工業者とで、時給アップが無理と契約解除のトラブルが起こっている。

 今回のコロナウイルスショックによって、大企業とて過去7年間に貯め込んだ内部留保を吐き出す局面にある。それで雇止めや非正規給与のアップ保留、正社員の給与ダウンなどを行う可能性が高まるだろう。そんな厳しい現状の中、同一労働同一賃金の制度にどう対応し、自らの生活を確保していくのか?正社員も非正規社員も共に、非常に難しい局面を迎えたのは確かであろう。(記事:TO・記事一覧を見る

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