画像処理システム、米中摩擦で減速も省人化・AI応用製品で拡大傾向の見込み
2020年4月3日 08:42
画像処理技術の進歩が社会を大きく変えようとしている。世界ではキャッシュレス化が進展しているがスマホ決済などでコードリーダー機能は欠かせない。既に顔認証による決済システムも実用化されている。こうした画像処理システムはセキュリティや検品など多くの分野で実用化が期待されている。さらにAIと組み合わせ深層学習をすれば人による目視判断を機械に置き換えることも可能だ。
総合マーケティング業の富士経済が画像処理システムの世界市場を調査した結果を「2019画像処理システム市場の現状と将来展望」として取りまとめ、その一部を17日に公表している。
レポートによれば、19年の画像処理システムの世界市場は米中貿易摩擦の影響による世界経済の減速により設備投資が停滞しリーマンショック以来の落ち込みとなった模様だ。
19年の世界市場の規模は1兆2836億円と見込まれ、前年比94.8%と縮小している。縮小したのは、画像処理装置、画像センサー、FA用エリアスキャンカメラ、FA用ラインスキャンカメラなど主要処理装置やカメラなどの機器、既に普及が進んでいるデバイス関連、基板実装関連の検査アプリケーションなどだ。
しかし一方、人手不足による省人化ニーズの高まりを背景に自動車関連などで目視検査が画像処理システムによる検査に置き換えられるなどの動きがあり今後拡大傾向で推移すると見込まれる。また、景況に影響されない食品、薬品、化粧品関連などでは省人化ニーズから検査アプリケーション、研究開発や品質管理用途が中心の観察・測定関連機器などの採用が進むことが期待される。現在採用が本格化しているAI・ディープラーニングの応用製品は米中貿易摩擦の影響も少ないと見られ引き続き拡大傾向と見込まれている。
これまで市場は製造業の現場が中心であったが、今後は省人化ニーズのある多様な業種や分野へ広がりをみせると予測される。また、本格的なデジタル化への移行やスマートフォンをベースとした画像処理装置の登場、ディープラーニングの実用化による大手IT企業の外観検査ビジネスへの参入など、市場はさらに広がりを見せると見込まれる。
こうした見込みからレポートでは22年の市場規模を18年比110.9%増の1兆5024億円と予測している。AIをも組み込んだ画像処理システムの発展・普及で今後急速に働き方、生活の仕方が変わって行くのは間違いないようだ。(編集担当:久保田雄城)