ドンキ展開のPPIH、グローバルな製販一貫体制確立で売上高3兆円へ挑む
2020年3月31日 12:40
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)は、東海エリアを中心に展開する居酒屋チェーン「赤から」が監修した「黒からラーメン」を、3月24日に全国で発売した。
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「黒からラーメン」は、ブレンド味噌をベースとして、焦がしニンニクが香る黒ラー油が癖になるコク旨ラーメンで、PPIHがスケールメリットと地域独自性を生かして積極推進を目指す、プライベートブランド(PB)商品である。
PPIHは1980年、安田孝雄によって東京で「株式会社ジャスト」として設立され、顧客最優先主義の下1989年「ドン・キホーテ」1号店を開店した。2013年持株会社制へ移行し、社名をドンキホーテホールディングスへ変更し、海外事業の拡大に伴い2019年に現社名のPPIHに変更した。
2019年6月期の売上高は1兆3,289億円。業態別の構成比は、ドン・キホーテ、ファミリー向けのMEGAドン・キホーテ、海外を含むディスカウントストア事業が76.5%、アピタ、長崎屋などの総合スーパー事業が20.0%、商業施設の開発・運営、不動産の保守・管理を行うテナント賃貸事業が2.9%、持株会社運営、インターネットサービスなどのその他事業が0.6%を占めている。
ドン・キホーテ1号店出店から30期連続で増収増益を達成しているPPIHの動きを見ていこう。
■前期(2019年6月期)実績と今期見通し
前期末の店舗数は693店と前年期末よりも275店の大幅増となった。内訳は新規国内出店23店、海外3店、第3四半期から子会社となったユニーグループの267店が増加し、閉店が20店であった。
その結果、前期売上高1兆3,289億円(前年比41.1%増)、営業利益は前年よりも115億円増の631億円(同22.4%増)となった。
営業利益増加の要因としては、前期49億円の実績があった長崎屋を総合スーパーへ移管した影響で、ディスカウントストア事業が19億円の減益に対し、ユニーグループが子会社になり長崎屋を含む総合スーパー事業が70億円、順調な新規出店により商業施設が好調だったテナント賃貸事業が50億円、その他事業が15億円の増益であった。
今期第2四半期累計(7-12月)実績は、ユニーグループの連結化で売上高8,588億円(前年同期比67.3%増)、営業利益451億円(同50.3%増)と好調な中、今期は売上高1兆6,700億円(前年比25.7%増)、営業利益720億円(同14.1%増)を見込んでいる。
■中長期期経営戦略(2020年~2030年)による推進策
顧客最優先主義を貫いて2030年に売上高3兆円(対前期比143.3%増)、営業利益2,000億円(同217.0%増)を目指し、次の戦略を推進する。
●1. 国内で盤石な2兆円体制の確立
・業態の棲み分け最適化により収益力強化。
・総合スーパー事業の復活と収益改革の推進。
・金融事業の拡大と収益化。
●2. 海外で1兆円体制の構築
・ジャパンブランド中心の新業態確立。
・アジア地域での事業拡大と北米地域で新業態創造。
・PB/OEM商品の開発と海外素材を使った飲食小売業を確立。
●3.営業支援戦略の強化
・スケールメリットを生かした商品の製販一貫体制の確立により、PB商品開発。
・直貿構成比を拡大してグローバルな商品供給、物流体制を構築。
・デジタル化、ダイナミックプライシング、顧客管理を融合したマシュマロ構想の推進。
・各カンパニー、店舗運営への権限移譲による地域性強化、意思決定のスピードアップ、人材開発。
・会員、クレジットカードの拡充により、金融、サービス、物販収益の拡大。
顧客最優先主義で多様な業態の店を展開して、世界へ挑むPPIHの動きに注目したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)