小惑星リュウグウの表面年代、人工クレーター生成実験で推定 JAXAなど
2020年3月21日 17:00
2019年4月5日、小惑星探査機「はやぶさ2」は、小惑星リュウグウに人工クレーターを生成する実験を行い成功した。その実験によって得られた研究成果は、JAXAや神戸大学など23の研究機関によってまとめられ、20日に発表された。研究成果には、小惑星でのクレーター形成過程の解明や、リュウグウの小惑星帯滞在期間の推定などが含まれている。
【こちらも】小惑星リュウグウは地球形成までの中間形態を取る はやぶさ2が明らかに JAXA
人工クレーターの生成は、2kgの銅製プロジェクタイルを秒速2キロメートルで衝突させることで行った。その3週間後に、はやぶさ2がリュウグウの上空1.7キロメートルまで近づき撮像観測を行い、クレーターの生成を確認した。
結果、クレーターサイズが地球上の同条件下で形成される場合の約7倍になることが判明。また、クレーターの生成においては表面張力よりも重力の方が支配的な要素であることも示唆されている。
クレーターサイズは、天体表面の年代を推定するときに使用される重要なデータである。小物体が衝突した際のクレーターサイズを予測するモデルは複数提案されているが、モデルによっては推定年代が一桁も変わってしまう。クレーターサイズは、リュウグウの表面年代を知る上で欠かせないデータと言えるのだ。
今回の実験から得られたデータを用いてリュウグウの表面年代を推定すると、640万年から1140万年程度となる。これまでの研究では約600万年から約2億年と推定されており、考えられていた範囲の中では最も短い期間となった。
リュウグウはもともと火星と木星の間の小惑星帯にあり、その滞在期間中に大半のクレーターが生成されたと考えられている。したがって、リュウグウの表面年代から小惑星帯滞在期間が上記の期間ということになる。
今回の研究成果から、リュウグウに限らず小惑星のクレーター生成や表面の再集積が、従来の推測より頻繁に起きている可能性も示唆されている。したがって、これまで観測されている小惑星のクレーター年代についても再検討する必要があると言える。
本研究成果は20日付のScience誌オンライン版にて公開されている。