金価格が記録的高値、原因はコロナウイルスだけではない

2020年3月16日 10:58

 金価格が記録的な高値で推移していることをご存知の方も多いことだろう。一般的に経済状況の見通しが怪しくなると、実物資産である金の価格が上がることは有名である。それでは今回の金価格の原因は、世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスなのだろうか?

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■コロナウイルスの感染拡大が続くと経済成長が鈍化する可能性も

 OECDによると、2020年の世界経済成長は2.4%になり、特に供給網や商品は打撃を受け、観光業は落ち込むと予想している。新型コロナウイルスは中国湖北省武漢市が震源地とされ、世界中に感染者が広がっている。

 WHOによると、新型コロナウイルスの感染者は15日現在、146の国と地域で確認され、感染者数は15万3,648人、死者数は5,746人となっている。また新型コロナウイルスの感染拡大が今後も続くとなると、2020年の世界経済成長は1.5%まで下落する可能性も指摘されている。

■金価格の記録的な高値はコロナウイルスだけではなかった

 いわゆる「コロナショック」により、世界の株価は下落を続けている。その中でも安全資産とされる金の価格は上昇し続け、記録的な高値をつけているのが現状だ。

 では今回の金価格の記録的な高値は、新型コロナウイルスによるものだろうか?

■米国の景気はバブルの懸念があった

 実は金価格は、コロナウイルスの感染拡大が懸念される前から上昇し始めていた。19年6月に米国経済の停滞が懸念され、FRBの利下げムードが強まり、金価格は上昇し始めた。実際に19年の7月と9月にFRBは利下げを実施している。

 リーマンショック以降の米国経済は順調に拡大し続け、国内の旺盛な消費が世界経済を支えてきた。経済学の理論に従えば、景気の過熱感を抑えるためFRBは利上げをすべきであったが、経済拡大を主張するトランプ大統領の圧力に逆らえず逆に金利を下げてしまった。

 この結果、株価の過剰な上昇を招いた。

 つまり今回の世界の株価の大幅な下落は、米国経済のバブルの懸念があり、コロナショックをきっかけにこのような結果に繋がったと考えられる。

■金価格は米ドルと逆相関の関係にある

 世界で信頼される資産として、米ドルと金が挙げられ、米ドルが下がれば金価格が上がるというシナリオが基本である。

 実際に19年に米国が2度の利下げを実施した結果、金価格は上昇している。

 また世界の著名な投資家の一人であるジム・ロジャース氏は、金価格についてこう述べている。

 「政府に対して人々が不信感を抱く時に金価格は上がる」

 特に日本政府は新型コロナウイルスへの水際作戦に失敗し、感染者拡大を招いてしまった。他にも韓国やイタリアでも感染者が拡大し続けており、今後も金価格は上昇すると同氏はみている。
 今回の各国政府の対応もまた、今回の金価格の上昇を招いている原因であるといえるであろう。

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