東証REIT指数が10%以上下落 投資妙味出るも不安定な相場は継続か
2020年3月16日 09:05
東証REIT指数の13日終値は1,596.30pt(前日比▲10.5%)で、2018年12月以来の水準まで下落した。REIT全体の時価総額は12兆3,873億円となり、1日で約1.5兆円が失われた計算だ。
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同指数は取引時間中15%以上下げる場面もあった。個別ではケネディクス・オフィス投資法人(8972)や森ヒルズリート投資法人(3234)など、複数の銘柄がストップ安水準まで売られた。午後に日銀が追加の資金供給を通知すると下げ幅を縮小した。
●利回りやNAV倍率は改善
投資口価格の下落で投資妙味は出てきている。REIT全体の平均予想分配回りは4.8%まで上昇し、最も高いインヴィジブル投資法人(8963)では11.5%まで上昇した。
NAV倍率が1倍以上の銘柄は11銘柄のみとなり、全体平均は約0.83%となった。REIT全体のNAV倍率が1倍を下回るのは約7.5年ぶりだ(2012年10月以来)。
しかし、良好なファンダメンタルズが無視される可能性は捨てきれない。13日は株式やREITのほか、債券も売られている。強い現金化の動きで、冷静さを失った市場でREITが見直される可能性は高くないだろう。
東京オリンピックの延期や中止の可能性も懸念材料だ。オリンピックの成否でテナント契約等が直ちに変更されることはないだろうが、REIT市場がネガティブに反応する可能性はある。
●日銀の資金供給は期待薄
日銀の緩和姿勢は良い材料といえよう。利下げの余地がほとんどない日銀にとって、資金供給姿勢を見せることは市場へアピールできる数少ない選択肢だ。
しかし、より積極的なETFやREITへの供給可能性は高くない。12日時点で日銀はETFを約29.1兆円、REITを約5,610億円も保有している。13日の下落を考えても、すでに日銀はそれぞれ全体の約5%も保有していることになる。将来の出口を考えれば、さらなる買い入れのハードルは決して低くない。
そもそも、市場が中央銀行に求める政策のハードルが非常に高い可能性がある。12日(日本時間13日未明)にFRBは約150兆円もの資金供給を公表した。公表直後はNYダウが急騰したが、結局史上最大の下落(▲2,352.6ドル)を記録し取引を終えた。日銀の姿勢が好意的に受け止められるかは不透明だ。
次回の日銀決定会合は18・19日で、追加利下げの可能性があるFOMCの公表(日本時間19日AM3時の予定と同日の発表だ(※FRBは15日、1%の緊急追加利下げを発表している)。(記事:ファイナンシャルプランナー・若山卓也・記事一覧を見る)