英語=アメリカ英語? ネイティブにこだわることの無意味さ

2020年3月16日 06:36

 英会話教室などの広告を見ても明らかなように、なぜか日本では「英語を習うならネイティブスピーカーから」ということが、非常に重要視されている。また、英語関連の本や教材などを見ても、「ネイティブはそんなふうに言わない」などの文言が目立ち、ネイティブの使う表現こそが正しくて、それ以外の英語は偽物かのような印象を受けるのではないだろうか。

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 だがこれから英語を学ぼうという人にとって、相手がネイティブか否かはそこまで重要ではないし、ましてや、アメリカ英語にこだわる意味もないのである。

■ネイティブと言っても人それぞれ
 ネイティブと言っても、出身地も違えば職業や育ってきた環境など、人によって千差万別であり、とても一口にまとめることはできない。ただ、日本で「英語のネイティブスピーカー」と言うと、多くの人はアメリカ人を連想するのではないだろうか。

 メディアで聞ける英語は圧倒的にアメリカ英語であり、学校でも基本的にアメリカ英語を習ってきたため、「自分もアメリカ人のように話せるようになりたい」と考える人は少なくない。英語の本場であるはずのイギリス英語さえ、「イギリス英語を身に付けたい」とわざわざ主張すると、ちょっと変わり者のように思われてしまうような扱いだ。

 イギリス英語でさえ日本では少数派だから、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランドの英語ともなると、たとえ英語が母国語の国とはいえ、よりマイナーな印象を受けるのではないだろうか。

 また、インド、フィリピンなどのアジア諸国、そのほかアフリカやカリブ海の国々のように、英語を公用語としている国は数十カ国にも上るわけだが、なぜかネイティブにこだわる人はこれらの国を念頭にも置いていないようだ。ちなみに、アメリカでは、大多数の国民が話す第一言語というだけで、英語が公用語として定められているわけではない。

■英語話者はノンネイティブが圧倒的多数
 こう考えると、何をもって英語ネイティブとするのか、わからなくなってくるだろう。厳密に言えば、生まれた時から英語を第一言語として使う人ならもれなく英語ネイティブということになる。

 なお、世界中で英語を話す人口は約20億人にも上るが、そのうちネイティブスピーカーとみなされるのは約3億8,000万人に過ぎない。つまり、非ネイティブの方が圧倒的に多いわけだから、アメリカ英語にこだわるのは、「将来アメリカに住みたい」などの特別な事情がない限りあまり意味をなさないのである。

 日本におけるネイティブのイメージの是非はともかく、ここではっきりとさせておきたいことは、英語を習う相手を選ぶ時は、ネイティブやアメリカ英語かということではなく、教え方の上手な優秀な講師なのかをポイントとすることである。また、自分のレベルや講師との相性も重要だ。なお、アメリカ人講師にこだわるなら、かなりのコストがかかることも忘れてはいけない。(記事:ムロタニハヤト・記事一覧を見る

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