Delta-Fly Pharmaは底値圏、新規抗がん剤創薬ベンチャー

2020年3月11日 07:52

 Delta-Fly Pharma<4598>(東マ)は新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャーである。既存の抗がん活性物質を利用するモジュール創薬という独自コンセプトを特徴としている。株価は地合い悪も影響して安値を更新したが、ほぼ底値圏だろう。売り一巡して反発を期待したい。

■新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャー

 新規抗がん剤の開発を目指す創薬ベンチャーである。既存の抗がん活性物質をモジュール(構成単位)として利用し、創意工夫を加えてアセンブリ(組み立て)することで、新規抗がん剤を創製するモジュール創薬という独自コンセプトを特徴としている。基礎研究がほとんど不要となり、臨床での有効性と安全性の予測が可能となるため、一般的な抗がん剤開発に比べて研究開発の期間が短く、かつ臨床試験で失敗する開発リスクも低減される。

 ビジネスモデルとしては、研究開発のマネジメント業務に集中し、具体的な業務については外部の研究開発受託会社や製造受託会社に委託している。効率的な運営を特徴としている。

 収益モデルとしては、研究開発段階では提携製薬会社からの契約一時金、マイルストーン、開発協力金が主な収入となり、提携対象製品が上市に至った場合は売上高に応じたロイヤリティ収入を得る。

■開発中のパイプライン

 開発中のパイプラインは、難治性・再発急性骨髄性白血病を対象疾患とする抗がん剤候補化合物DFP-10917(米国で臨床第3相試験中、日本で臨床第1相準備中)、肺がん等を対象疾患とするDFP-14323(ウベニメクスの適応追加、日本で臨床第2相試験中)、膵がん等の固形がんを対象疾患とするDFP-11207(米国で臨床第2相準備中)、固形がん・血液がんを対象疾患とするDFP-14927(米国で臨床第1相試験中)、腹膜播種移転がんを対象疾患とするDFP-10825(前臨床試験中)、固形がんを対象疾患とするDFP-17729(臨床試験準備中)である。

 DFP-10917は日本で日本新薬、DFP-14323は日本で協和化学工業と提携している。

 なおDFP-14323について、提携先の協和化学工業から19年8月、既承認薬ウベニメクスとの生物学的同等性試験によって同等性を検証し、ウベニメクスの後発医薬品の製造承認を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請したとの報告を受けた。協和化学工業は申請後1年程度で製造承認取得を見込んでいる。

 DFP-17729は、18年11月出願した特許(がん細胞の代謝の特異性に基づく新規抗悪性腫瘍剤)が、19年8月日本に続いて韓国でも成立した。また19年8月、新たな特許(抗がん剤の効果増強剤)を出願した。

 DFP-14927は18年10月米国で物質特許成立、18年12月米国FDA(食品医薬局)へIND(臨床試験用の新医薬品)申請、19年1月米国FDAによるIND安全性審査が完了して米国での第1相臨床試験の実施が許諾された。19年7月には日本でも物質特許が成立した。

 19年2月には北米における臨床開発事業の拡大に伴ってバンクーバー事務所を開設した。DFP-10917第3相臨床試験、DFP-11207第2相臨床試験、DFP-14927第1相臨床試験を推進する。

 またDFP-10917は、米国MD Anderson Cancer Centerを中心に臨床第3相(単剤療法)を進めているが、19年4月にはDFP-10917と難治性・再発慢性リンパ性白血病治療薬Venetoclaxの併用臨床試験の検討を開始すると発表した。

 19年11月には、米国でのDFP-10917第3相臨床試験およびDFP-14927第1相臨床試験について、症例登録開始の報告を受けたと発表している。

 20年3月期の業績(非連結)予想は、売上高が0億円、営業利益が10億66百万円の赤字、経常利益が10億66百万円の赤字、純利益が10億69百万円の赤字としている。研究開発費を含む販管費が増加する。第3四半期累計は売上高がなく、営業利益が12億23百万円の赤字だった。

■株価は底値圏

 株価は地合い悪も影響して安値を更新したが、ほぼ底値圏だろう。売り一巡して反発を期待したい。3月10日の終値は960円、時価総額は約43億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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